児童虐待通報電話「189」(いち早く)がスタート:あなたの隣で苦しんでいる子どものために
■児童虐待通報電話「189」(いち早く)スタート
■通報は国民の義務
児童虐待を発見した時の通報(通告)は、私たちすべての国民の義務です(児童福祉法25条)。通告する時には、児童虐待をしている確信を得る必要はありません。「もしかしたら虐待かな」でOKです。「通告」というと堅苦しいですが、「相談」でも大丈夫です。匿名でも、知らせることができます。
病院や学校のスタッフも、同じように通報の義務があります。患者や児童に関することを外に話すわけですが、この場合は守秘義務には反しません。
とはいえ、近所の人も、学校教職員も、いざとなるとなかなか勇気がいるでしょう。社会全体で、通報することが当たり前になると、一人一人が通報しやすくなると思います。
■深く傷ついている子どもたち
虐待の結果、こそもが死亡すれば、大きなニュースになります。でも、そうでなくても、深く傷ついている子どもたちがいます。人は、大きなショッキングな出来事で傷つきます。大地震や大事故にあって、PTSDになる人もいます。
児童虐待は、大地震や大事故のようなことは起きません。けれども、一回の出来事ではなく、何年にもわたって毎日のように辛い目にあいます。しかも、相手は一番頼りんしたいはずの親です。その結果、深い心の傷ができて「複雑性PTSD」になる人もいます。大人になって親から離れた後も、心の症状が残る人がいるほどです。
虐待されている子どもが、家で泣くだけではなく、何かのSOSを誰かに出すときもあります。それでも、周囲の大人が的確に動けないと、子どもは本当に孤独と絶望の世界に落ちていきます。
ひどい虐待で苦しんでいる子どもは、ドラマや児童相談所の中にいるだけではなくて、私たちの町にもいる、私の隣にもいるという想像力を、持ちたいものだと思います。