ついに出た! ”Jリーグ 海ポチャ第1号” 北九州・高橋拓也「恥ずかしいからあまり取り上げないで…」
Jリーグ25年の歴史で初の”快挙”だ。
10日に北九州市ミクニワールドスタジアム北九州で行われた明治安田生命J3リーグ第12節、ギラヴァンツ北九州―ガンバ大阪U-23戦の後半40分にその出来事は起きた。
ホーム北九州が2-1でリードする試合展開で、北九州GK高橋拓也がペナルティエリア左側から外に飛び出し、左足でボールをクリア。
これが放物線を描き、6140人が注目するなか見事にバックスタンド後方の海へ。
北九州のホームゲーム6試合めにして、栄えある”海ポチャ第一号”となった。
そのまま2-1で勝ったからこそ出来たことだ。試合後、わざわざ北九州広報が記念のボールを取材エリアに持ち込み、異例の囲み取材が行われた。
”恥ずかしいからもうやめませんか”と笑う高橋。新たな歴史を切り拓いたその心情を聞いた。
――池ポチャのシーンを振り返って。
こちらがリードしていた終盤、相手も攻撃に出てきていました。”ボールを大きく蹴りだそう”という狙いが、そういう結果になったのだと思います。別に海ポチャを狙っていたとか、会場を沸かそうとか、そういうことではないです。あくまでプレーをしていたら偶然、飛び込んだということです。
――アマチュアの草サッカーだと”外に大きなクリア”というのはよくありますが、Jリーグではなかなかでないんじゃないか。そういう話もありましたが。
そうですね。今までも(ここミクスタでは)惜しいシーンはありませんでしたね。
――チーム内の反応は。
ヘンな話だけど、今日一番スタンドが沸いたんじゃないかという話にはなりましたよね。試合に勝って、このスタジアムの名物でもある”ゼロタッチ(ピッチからゼロメートルの高さでサポーターとハイタッチ)”をしたんですけど、「海ポチャよかったよ」と声をかけていただきました。恥ずかしい気持ちにもなりましたけどね。
――これまでチーム内では”海ポチャ”が語られることはありましたか?
チーム内ではそんなに話題にはなってないですよね。ネットで『海ポチャになるかも』と書かれていたのは知っているんですが。その第一号を狙ってた選手なんていないと思いますよ! 今日、偶然、プレーの流れのなかで僕が第一号になったということです。
――ボールが海に出て行った瞬間の気持ちは?
『ナイトゲームだけど、拾ってくれるかな?』と思ったりしましたよね。高級なボールなんで。ちょっと給料から引かれるのかな、と思ったりしてゲームに戻りましたけど。
――左足のキックから放たれたボールが海に向かって放物線を描いた。
はい。眺めてました。相手もすぐにスローインを始めませんでしたよね。もしかして見入っちゃったのかもしれませんね……あー……ありがとうございます。すごい恥ずかしいので、あんまり取り上げてもらいたくないという気持ちもありますよ! でも、こういう海の近くにあるスタジアムもギラヴァンツの魅力なので、お客さんにも楽しんでいただきたいです。観にきてくださる方がどんどん増えることは、選手としても嬉しいことです。
――船で拾ってくださる方は、毎試合待機しているそうです。ついに出番が来ました。
暗いなか、本当によく拾ってくださいました。
――第一号がホームチームから出てよかったです。
そうですね。ありがとうございます!
会見後、記者自身もボールを嗅いでみたが、普通のゴムの匂いだった。
高橋拓也
1989年6月30日生まれ。 181cm71kg。神奈川県出身。スワSC ‐ 横浜F・マリノスJrユース追浜 ‐ 日大藤沢高 ‐ 神奈川大 ‐ Y.S.C.C横浜 ‐ 横浜F・マリノス。J3通算72試合出場。今季は7節途中から負傷の山岸範宏にかわりゴールマウスを守る。