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【家庭菜園】トマト栽培で困ったこと『尻腐れ』 原因、対処法、食べることできる?

緒方湊野菜ソムリエプロ(高校生)

トマトの栽培困ったことランキングの上位には毎年【尻腐れ】が入ります。

■病気ではなく生理障害

「尻腐れ症」とは、トマトのお尻の部分が腐ったように黒くなる生理障害です。中玉トマトやミニトマトよりも、大玉トマトになりやすい症状です。原因は「カルシウム欠乏」がほとんどですが、芯止め(成長点を切って、これ以上大きくしないようにする)をした後のトマトにも症状が出る場合があります。それは芯止めをすることでトマトの実に栄養が回りすぎて起こることがあるからです。

■尻腐れ予防

菜園の土づくりの際に、苦土石灰や消石灰などを事前に混ぜますが、入れるのを忘れていた場合、「尻腐れ予防」をしましょう。

予防方法としては葉に回る養分(カルシウム)を実に回す方法があります。それは花が付いている茎の反対側に葉が付いていますので、その葉を摘み取り、その葉に回るはずだった養分(カルシウム)を花に(実に)回すようにします。実が出来ているものの横の葉は、実に栄養を送り込む葉なので摘み取らないようにします。

■尻腐れになった場合

トマトが緑色の状態のときに尻腐れが起こっている場合(1段目や2段目の実がなりやすい)、カルシウム不足が考えられます。石灰や草木灰などカルシウムを含む肥料を追肥としてあげようとされることが多いですが、症状の改善には間に合いません。その場合、速効性のある液体カルシウム剤を使用するのがおすすめです。

※肥料分(窒素やカリ)が多すぎてもカルシウムの吸収を阻害します。これも尻腐れになる理由の一つです。肥料が多すぎる場合、酢を300-500倍に希釈して葉面散布します。葉の両面に散布することで、余分な窒素を消化し、カルシウム吸収を促します。

■栄養が回りすぎて

トマトが大きく赤くなっている状態のときに尻腐れが起こっている場合の原因は、「芯止め」をしたことで栄養が回りすぎてしまい、カルシウムが摂取できずに、尻腐れになったと考えられます。

その場合、尻腐れをしている部分を取り除き、食べることが出来ます。意外と美味しいです。

■大玉トマトにある小さな白い点

大玉トマトを栽培している場合、トマトの肩のあたりに小さな白い点々が見えますか?この小さな白い点々がシュウ酸カルシウムです。実際には、表皮と果肉の間にシュウ酸カルシウムの集積が白い小さな点として見えるのですが、ストレスなく順調に大きくなっているサインでもあります。

「尻腐れ」はトマト栽培をしていると、起こりやすい事象かもしれません。一般的にはカルシウム不足なのですが、肥料過多などでも起こることがあります。予防をしたり、発見したら早めの対処をするようにしましょう。

野菜ソムリエプロ(高校生)

横浜在住。県立高校2年(16歳)。8歳で「野菜ソムリエ」、10 歳で「野菜ソムリエプロ」に合格し、当時の最年少記録を大幅に更新。12歳で日本さかな検定(とと検定)1級にも合格。公的機関、民間企業の大使、アンバサダーを多く拝命。公的機関や民間企業と一緒に行う野菜の普及啓発活動の他、和食文化の保護・継承にも取り組む。また官民を繋ぎ、地方共創への取り組みを支援し、関係人口の創出をサポートしている。著書:『野菜がおいしくなるクイズ』(‎飛鳥新社)

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