醸造の町がフォトジェニック!「摂田屋」地区にレトロ旅【新潟・長岡】
レトロな建物が点在する長岡市の郊外にある摂田屋(せったや)地区は、“醸造の町”とも言われ、酒蔵や味噌、醤油など、発酵食品を扱う会社が集まります。お食事処やカフェもあるコンパクトな街は散策にもピッタリ。明治、大正、昭和の面影をたどってみてはいかがですか。
≪日本一!が見られる旧機那サフラン酒本舗≫
長岡駅のお隣、JR宮内駅から徒歩10分ほどの摂田屋地区。一種独特の町名の由来は、三国街道が通っているため旅人向けの無料休憩所 “接待屋” から転じたとも言われます。米どころにあって1.5キロほど離れた信濃川の伏流水に恵まれ、戦国時代から酒蔵が立ったことから、味噌や醤油などの発酵食材作りが発展。そのため摂田屋では、母屋や土蔵など、無数の登録有形文化財が今も残ります。
薬用のサフラン酒で財をなした吉沢仁太郎が大正期に建てた、2階建の土蔵や唐破風の玄関をもつ主屋など、敷地内にはたいへん見事な名建物の数々が並びます。
なまこ壁が見事な2階立ての土蔵には、十二支や草花など極彩色で描かれた鏝絵(こてえ)が飾られます。
鏝絵とは漆喰で立体的に作ったレリーフを彩色したもので、当時近くに住んでいた左官職人の河上伊吉が手がけ、見事な造形と細密な描写は「日本一の鏝絵」と言われるほど。
≪漫画『美味しんぼ』にも登場!自家製お味噌≫
漫画『美味しんぼ』の16巻にも登場する自家製味噌の「味噌星六」は、無添加無農薬の国内材料を使い、全国から注文が入る名店です。
木桶熟成など昔ながらの味噌作りにこだわります。大正時代に建てられたレトロなお店に加え、星六土蔵は国の有形文化財に登録されています。
「昔作り味噌」や「麦みそ」など5種類の味噌は、それぞれ1年から3年熟成ものをそろえます。なかでも「こだわり味噌」は、大豆の一部に新潟津南町産の「さといらず」に米麹や豆麹を使い、高級な伊豆大島の塩「海の精」を加えたお味噌です。
≪酒ミュージアムのSAKEバーがオススメ!≫
現存する新潟最古の酒造メーカー「吉乃川」は、織田信長と斎藤道三の娘濃姫が祝言(しゅうげん)を挙げた戦国時代の1548年に創業。その構内にある酒ミュージアム「醸蔵」は、蔵元の歴史に触れられるほか、一画にあるバーでは同社の様々なお酒を試せます。摂田屋地区を代表する観光スポットのひとつです。
ミュージアムになっている大正時代に建てられた倉庫は、国の有形文化財に登録。館内では歴代のラベルや道具などの展示をはじめ、子供でも気軽に遊べる酒造り体験ゲームを用意。ショップでは、蔵の限定酒や甘酒、お酒の仕込み水「天下甘露泉」も販売します。
館内にあるSAKEバーでは1杯¥300からお酒を試せます。特に注目は醸蔵限定酒と、8銘柄30分飲みくらべ¥1,200。さらにご当地おつまみもあって、吉乃川の酒粕で粕漬けにした鶏肉がフワフワな「鶏のかぐら南蛮みそ和え」をチョイス。ご当地グルメと軽く1杯楽しむのもいいですね。
≪レトロな醤油蔵は郷愁たっぷり≫
江戸時代後期の1831年に創業した醤油蔵「越のむらさき」は、「だし入り醤油」が看板商品。明治10年に建てられた主屋と土蔵が国の登録有形文化財に指定されています。特に白く社名のはいったレンガ造りの煙突がフォトジェニック。お土産も売られていて、甚吉(じんきち)袋のついたお醤油セットがおすすめです。
越のむらさきの玄関前が三国街道の分岐点。向かいにある「竹駒稲荷」には子連れの狛狐がいて、子宝と安産祈願に人気です。
ノスタルジックな建物が残る醸造の町【摂田屋】。今回紹介した他にも長谷川酒造や味噌漬物の星野本店をはじめ、お団子屋さんやお食事処もあるので、レトロな街をゆったりと巡ってみてください。