上原浩治が語る日本シリーズとCSの問題点…今のシステムはもったいない!
プロ野球は28日から日本シリーズが開幕する。今季は18年ぶりにセ・リーグを制した阪神と、パ・リーグ3連覇のオリックスがともにクライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がった。
順当にクライマックスシリーズを勝ち上がった両球団だが、レギュラーシーズンの成績は、阪神は2位広島に11・5ゲーム差、オリックスはさらに大きく2位ロッテに15・5差をつけた優勝だった。
CSについては、球界やファン、メディアでも多くの意見が出ているが、私は「CSには賛成、アドバンテージにはレギュラーシーズンの成績をさらに反映」の立場である。
日本のプロ野球はセ・パそれぞれ6球団で、3位までが日本シリーズに進出する権利があるというのは「賛否」が分かれるだろう。しかし、プロ野球は興行である。例えば、今季のセ・パは阪神、オリックスが終盤に独走態勢に入った。この時点で、優勝争いから脱落した他球団のファンの関心は薄れ、球場に足を運ぶ機会が減少してもおかしくない。もちろん、各球団がファンを呼び寄せるイベントを考案すればいいのだが、「日本シリーズ進出の可能性」というカードは効果絶大だろう。3位争いまで含めれば、多くの球団がシーズンの終盤まで競り合うことができ、「消化試合」は少なくなる。だから、CSを否定するつもりはない。
では、アドバンテージは優勝チームの「1勝」でいいのか、という点である。2、3位球団の日本シリーズ進出の可能性は残しつつも、今季の阪神、オリックスのように長いペナントレースを大差で勝ち抜いたチームとの「下剋上」のハードルはもっと高くていいと思う。例えば、ペナントレースのゲーム差が「10未満なら、アドバンテージは1勝」、「10以上なら2勝」とすればどうだろうか。CSは優勝を逃したチームのファンが最後まで盛り上がる機会を提供しているが、今季のように大差で優勝を決めたチームのファンにとっても、10ゲーム差をつけてアドバンテージを拡大することに関心が集まれば、残り試合が「消化試合」にならないはずである。
もしも、今季の阪神、オリックスのどちらかがCSで敗退すれば、レギュラーシーズンの価値という問題がクローズアップされてしまう。「先手」を打つ意味でも、こうした「平時」にアドバンテージの拡大を議論するのは悪くないと思う。
そんなCSが終わって、思わず日本シリーズの日程を確認してしまった。28日開幕ということで、両チームの日本シリーズ決定から随分と日程が空いている。
ここでの”小休止”はプロ野球への関心熱を冷ましてしまわないか。熱心な両チームのファン、コアなプロ野球ファンならともかく、にわかファンの取り込みには、「鉄は熱いうちに打て」でもっとタイトな日程で開催してもいいと思う。
今年は阪神が3連勝、オリックスも3勝1敗とほぼ最短の日程でCSファイナルステージが終了したことに加え、数日の間隔には天候、選手の疲労などの事情もあるのだろうが、「中だるみ」の感は否めない。レギュラーシーズンとポストシーズンを戦い抜いて決める「日本一」なのだから、選手たちも疲労と向き合いながら戦う覚悟はできているはずである。
先ほど、優勝チームもアドバンテージを拡大するために終盤まで「消化試合」がなくなるということを書いたが、主力をどう休ませるか、起用するかなども首脳陣のマネジメント力になってくる。選手のコンディション調整を含めて、タイトな日程で戦い抜いてこそ、日本シリーズの勝者の価値も高まるはずである。
CSのアドバンテージ、日本シリーズまでの日程間隔、皆さんはどう思いますか。