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掘っ立て小屋かよ!バンコクリバーサイド穴場レストラン「ジャックスバー」がおすすめ

タイ旅行ライター吉田彩緒莉タイ大好きトラベルライター
どう見ても掘っ立て小屋!だがしかし!

バンコクリバーサイドは古民家風カフェが人気

バンコクには映えるカフェが増え続けている。それはチャオプラヤー川沿いのチャイナタウンなどに代表されるものの、古い屋敷を改装した「古民家風」も多く見受けられる。一歩間違えば古民家?いや、それ掘っ立て小屋じゃないか?と思われる店も多いが、大丈夫だ!そう言うお店は内装だけはしっかりとレトロかつお洒落に作り上げているので、まったりと素敵な時間をすごせるはず。

今回紹介する店は、それとはちょっと違う話になる。古民家と掘っ立て小屋のギリギリという線の店ではない。ホンモノの掘っ立て小屋だ。
古い渡し舟の船着き場だと信じ切っていたら、飲食店だったという衝撃的なビジュアルだか、バンコクに立ち寄ると必ず思い出して行きたくなる、価値のある絶景バー&レストランなのだ。

シャングリラホテルバンコク脇の掘っ立て小屋「ジャックスバー(Jack's Bar)」

バンコクのチャオプラヤー川沿いには、有名な場所から無名な穴場まで古い木材とトタン屋根で造られた「掘っ立て小屋食堂」はいくつか存在していた。
「これ、小屋を支える木がだいぶ腐っているけど、店が壊れるんじゃない?」と心配になるレベルの店もあったが、最近はその数も少なくなり、悲しい限りだ。
しかし数は減ってもまだ健在。バンコク中心部よりも、チャイナタウンのリバーサイドや、バンコク三大寺院あたり、それよりも上流のノンタブリー方面に、まだ存在している。
そういったロケーションゆえに、バンコク中心部のホテルに泊まっている場合、夕食を食べにふらりと掘っ立て小屋に行くのは難しい。いや、まあ、掘っ立て小屋を最初から目指していく人も、そんなにいないと思うけれど、ちょっと不便な場所に多いと思う。

しかーし!今回紹介する「ジャックスバー」は、あの老舗高級ホテル「シャングリラホテルバンコク」と泣く子も黙るラグジュアリーホテル「ザ・ペニンシュラホテルバンコク」の船着き場の目の前。
女子ひとり旅、女子同士、初めてのバンコクという観光客、そしてラグジュアリーホテル泊の方でも、大手を振って簡単に訪れることができる優秀過ぎる立地。逆にこんなところに掘っ立て小屋があるとは思えないような雰囲気だ。

公共の道のはずなのに、植え込みで囲み、出入り口前も敷地のようになっている
公共の道のはずなのに、植え込みで囲み、出入り口前も敷地のようになっている

ジャルンクルン通りをソイ42/1に入り、シャングリラホテルバンコクのエントランスを左に見つつ、川沿いのどん突きまで進めばすぐ見つかる、掘っ立て小屋。それがジャックスバー(Jack's Bar)だ。

リバービューカウンター席は大人気。回転が早いから待って正解

ジャックスバーを訪れる人はほとんどが川沿いにあるカウンター席を希望。グループで来る人は、カウンター席ではなく、川がカウンター席にいる人越しに見えるテーブル席が特等席の限界だ。せっかくこの店に来たら、ボッチとカップル、2人組の友達同士の方は、カウンター席を所望しよう。

こちらのお店の店員さんたちは、いつ来てもどの人も親切。
「カウンター席は満席です」と追い返さず「カウンター席が空いたらお知らせしますね!」と言って、他の席に待機するよう促してくれる。

回転が早いので以外に早く人気の席が空く。それまで待機だ。
回転が早いので以外に早く人気の席が空く。それまで待機だ。

リバーフロントのカウンター席は意外に回転が早い。ここで川風に当たりつつ、食後のドリンク、もしくは食前酒のみという方も多のだ。なぜかというと、このド・カジュアルな雰囲気ながら、立地が一等地ということで料理は200バーツ(2024年8月現在約800円)以上の物が多い。もしこの店が川沿いになかったら、半額だと思う。ただ、物価の上がったバンコク。このロケーションでこの値段なら文句はない。

川がすぐ足の下の特等席!
川がすぐ足の下の特等席!

ビールを飲み始めて5分も経たないうちに、席が空いた。

進化し続けるバンコクリバーサイドの光景が最高のつまみ

カウンター席に座れば、ああ、やはりここに来てよかったな、としみじみ思うはずだ。光り輝くアイコンサイアム(ICONSIAM)と、チャオプラヤー川、そして行き交う大型ディナークルーズ船の煌びやかな姿が眼前に迫る。

黄金都市のような光景
黄金都市のような光景

そして正面には1997年に創業したザ・ペニンシュラバンコク。今も堂々たる姿。

屋外では氷が欠かせないタイビール
屋外では氷が欠かせないタイビール

この店の誕生は2006年だとスタッフの一人が言う。そして、自分の記憶でも、もう少し広かった時代や、インテリアに凝っていた時代もあったような気がする。
確か約25年前は、この店の前にある船着き場は、ザ・ペニンシュラバンコクの隣にあるお屋敷なのか、集合住宅なのかわからない瀟洒な建物から出て来る船の船着き場だった。今その建物に人が住んでいるかどうかはわからない。そしてこの店は小さな商店だったはず。

そんなバンコクとの長い付き合いを、生ぬるい川風に吹かれながら思い返す。

空心菜炒め。ビールが進む濃い味
空心菜炒め。ビールが進む濃い味

定番の空心菜と、トートマンプラ―(魚のすり身揚げ)をオーダーし、キンキンに冷えたビールで流し込む。
自然に友との会話もこの面白すぎる、そして麗しすぎる都市バンコクと過ごしてきた日々の思い出になる。まるでバンコクという友も交えた3人で会話をしているみたいだ。

船着き場から撮影してほしいジャックスバーの掘っ立て小屋具合

誰もがこの景色を見ていると、つい川を眺めるカッコイイ俺、的な気持ちになってしまうはずだ。それを思い切り現実に引き戻してくれる最高の手段がある。それはこの船着場から、ジャックスバーを撮影することだ。

船着き場からジャックスバーを撮影するのがゲストたちの常識
船着き場からジャックスバーを撮影するのがゲストたちの常識

まずは成功例だ。

樹齢数十年はあるだろう大きな木の下に、光り輝くシャングリラホテルを従えて立つ姿は、隠れ家風情がたっぷりと出る。

メッチャかっこよく撮影できている例
メッチャかっこよく撮影できている例

しかし川を入れて寄りで撮影すると...

川に浮く藻やゴミがスラム感を醸す
川に浮く藻やゴミがスラム感を醸す

なんと言うことでしょう!
チャオプラヤー川の濁った水と青々としたまま流れてくる大量の藻、発泡スチロールやあまり凝視したくないゴミが映ってしまい、一等地にあるのにスラム感が出てしまう。
しかしこれもバンコクらしい、失われてほしくない光景。
柱のメンテナンスができていると信じているが(笑)、水が引くと、かなり長い木の柱が無数に川底に突き立てられて、店を支えている姿を目撃してしまう。大丈夫か?と思いながらも「柱たちよ!できるだけ長く、この掘っ立て小屋を支えて頑張れ!」と応援したくなってしまうのだ。

欧米人は何時間も川面を眺めて語り合う

この店に来るといつも欧米人が長時間、ダラダラと飲んでいる姿を目にする。旅行者もいるだろうが、在住者も多そうだ。我らは常に虫よけを塗りながら過ごしているのだが、彼らは短パン生足を惜しげもなく川に差し出し、手加減ナシの蚊に、ごちそうを与え続けている。

そんな光景を見ていると、つい我々も「もう1杯」とグラスを重ねてしまう。

ちなみにこちらのグラスのハウスワインは200バーツから(2024年5月時点)と、立地と景色を考えるとバンコクではお得。キンキンに冷えたグラスに入れてくれる上、ハウスワインなのに、きりりとした辛口を選んでいるのがお気に入り。

ボトルワインもワインが高いバンコクの割には(タイではワインの酒税が下がったはずなのに、物価が上がったせいか値段が下がらないのが不思議)立地と景色を考えればお得。

最後の1杯でチャオプラヤー川に乾杯しながら、いつまでも世界中の人たちが、まったりと過ごせる奇跡的な空間でありつづけてほしいと願うのだった。

年末年始の花火やロイクラトン祭りはかなり前から予約を

バンコクのチャオプラヤー川は年末年始のカウントダウンやロイクラトンなど、川を舞台にした催しも多く、ジャックスバーは立地が良いので大変な人気だ。もしここで花火を見たい、と考える場合は、カウンター席の競争率は高くなる。1ヶ月以上前から予約するなど、お店の人と相談を。ただ確実に川沿いの席が取れるかどうかは保証できない。
どちらかというとこのひなびた風情が良い店なので、できればピークシーズン以外に楽しんでほしい。また、バーと名は付くものの、ランチの時間から営業中。使い勝手が良いのもお勧めできるポイント。

ジャックスバー(Jack's Bar)
アクセス:Next to Shangri La hotel on the Chao Phraya, Bang Rak, Thailand, Bangkok
所在地: 62/1 Wat Suan Phlu Alley, Khwaeng Bang Rak, Khet Bang Rak, Bangkok
Facebook:ジャックスバー(Jack's Bar)

タイ大好きトラベルライター

タイ旅行・タイエンタメ関連ライター。25年前タイにはまり「住んだら飽きるかも?」と1年住んで、ますますハマってしまいタイ大好き病が悪化。タイ関連記事は旅行、映画、ホテル、タイ芸能人・文化人インタビューなど多媒体&多岐に渡る。個性あるタイのホテルが大好きで泊まり歩く日々。特に好きな都市はチェンマイ、チェンライ、カオラック、バンコク、ホアヒン。ライター・編集者歴30年。大手音楽事務所宣伝部を経て某バンドの会報ディレクション、映画情報誌・旅行誌・インバウンドサイト・旅行サイトなど多くの編集部で執筆・編集を行ってきたライター・編集ひと筋のヒト。

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