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米長期金利の5%とドル円の150円の壁

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 米10年債利回り(米長期金利)は、現地時間の19日の夕方に5%を16年ぶりに付けていた。その後はいったん達成感もあってか、20日には4.91%と低下した。さらに現地時間23日早朝の取引で米長期金利一時5.02%と2007年7月以来の水準に上昇したが、こちらも同様に通常時間の取引では買い戻されて4.85%に低下していた。

 ドル円は20日に3日以来となる150円台を付ける場面があった。こちらは達成感というよりも、介入警戒によって戻り売りに押され、149円台後半でのもみあいが続いている。

 米長期金利については5%はあくまで数値上の節目であり、日銀のYCCのようにここでFRBががんばっておさえつけるといった水準では当然ない。すでに2年債とかは5%台を付けていたように、ここはあくまで通過点となる可能性がある。

 これに対してドル円の150円については、以前に気になる動きがあった。10月3日のニューヨーク市場で、朝方に米長期金利が4.81%と、2007年8月上旬以来の水準に上昇したことから、ドル円は一時150円16銭まで上昇した。ところが、そこから数秒間で147円43銭まで急落していたのである。

 これが小口の介入とかレートチェックがあったのかは現状、定かではない。もし介入であれば10月31日に発表される外国為替平衡操作の実施状況(9月28日~5年10月27日)で確認できるが、それまでははっきりしない。

 このため、150円台では介入警戒がつきまとうこととなり、こちらは精神的な大きな壁となっている。このため、米長期金利とドル円の動きにやや乖離も出ている。

 ドル円の150円台が介入水準ではないとの見方が出れば、ドル円はもう少し跳ね上がってもおかしくはないのであるが。今後の米長期金利とドル円の動き、連動性についても注目してみたい。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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