日銀短観、大企業製造業DIは改善、日銀の金融政策の正常化を後押しか
日銀が1日に発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の業況判断指数(DI)は、前回3月調査のプラス11から2ポイント改善してプラス13となった。2四半期ぶりの改善となった。先行きについては1ポイント改善とみている。
原材料高を価格に反映する動きが広がった。素材業種は5ポイント改善してプラス14となっていた。
自動車は、ダイハツ工業の出荷停止の影響が緩和して生産が回復したものの、トヨタなどで新たに発覚した不正問題により関連産業に影響を与えている。自動車は足元で1ポイント悪化しプラス12となっていた。
大企業・非製造業の業況判断指数(DI)はプラス33と前回3月のプラス34から1ポイント悪化し、2020年6月以来、4年ぶりの悪化となった。歴史的な円安水準による原材料高や、人件費の上昇が重しとなったと見られる。小売は原材料コストや賃上げの影響で景況感が12ポイント悪化してプラス19となった。
先行きについては6ポイントの悪化とみている。先行きについては、インバウンド需要の持続性に対する懸念も出ているようである。
企業の物価見通しは、全規模全産業で1年後は前年比2.4%、3年後は2.3%、5年後は2.2%といずれも日銀の物価目標の2%を超えている。
今回の短観は日銀の金融政策の正常化を後押しするとみられる。