大雨後の感染症、避難所での感染対策について
全国で災害級の大雨が続いています。
大雨や洪水などの災害の後には特定の感染症が流行することがあり、また避難所での集団生活でも感染症が広がることがあります。
注意すべき大雨後の感染症、避難所での感染対策についてまとめました。
大雨の後に注意すべき感染症
大雨により多くの地域で浸水や洪水が見られています。
もし皮膚に傷がある場合、傷が汚染された水にさらされることで感染することがあります。
例えば、ビブリオは特定の沿岸水域に生息する細菌であり、開放された傷口がこれにさらされると皮膚感染症を引き起こすことがあり、洪水のときに流行することがあります。
他にも、レプトスピラという細菌はネズミの尿に汚染された水を介して人の皮膚の傷口から入り込みレプトスピラ症を起こすことがあり、洪水時に流行することがあります。2004年に愛媛県、2005年に宮崎県、2011年には三重県で台風とそれに伴う洪水の後にレプトスピラ症患者が発生しています。レプトスピラ症は発熱、眼球結膜充血、全身の筋肉痛などを特徴とする感染症です。
皮膚に傷がある場合は、浸水や洪水にさらされないようにしてください。
もし傷が水に浸かってしまった場合は、石鹸と水でよく洗って清潔な絆創膏などで覆うようにしましょう。
傷口が赤くなったり、腫れたり、黄色い膿が滲み出てきたりした場合は、直ちに医師の診察を受けるようにしましょう。
避難所での感染対策
8月15日現在、多くの地域で避難指示が出ており、すでに避難所にいる方も大勢いらっしゃるかと思います。
避難所では特定の感染症が流行することがあります。東日本大震災のときには避難所でノロウイルス感染症やインフルエンザが流行しました。
また、多くの方が避難する避難所では3密状態になることから、避難所においては新型コロナの感染防止対策が重要です。
マスク・消毒液・体温計は持参するようにしましょう。
避難所での備蓄品には限りがあるので、マスク、アルコールなどの消毒液、体温計は持参するようにしましょう。
アルコール消毒液がない場合、ウエットティッシュでも良いでしょう。
体調不良・濃厚接触者は入所時に申告を
新型コロナに感染している可能性のある人、例えば熱や咳などの症状がある人や、新型コロナ患者の濃厚接触者になっている人は、避難所の中でも別のスペースが割り当てられていることが多いため、入所時に申告するようにしましょう。
また、入所後も定期的に体温測定を行い、発熱や体調不良が現れたときには速やかに報告するようにしましょう。
感染対策ではありませんが、暑い時期ですので熱中症に注意し水分を十分摂ることを心がけましょう。
3密にならないようにしましょう
避難所は限られたスペースに多くの方が避難します。
3密の環境にならないように、
・家族以外の人との距離を確保(2M程度)
・30分に1回程度の換気を行う
・近距離での大声での会話を避ける
ことが重要であり、また屋内ではマスクを着けるようにしましょう。
可能であればパーテーションやテントなどによって、明確にスペースを区切ることが望ましいでしょう。
新型コロナだけでなく、避難所で流行しやすいノロウイルス感染症などの下痢症対策を含めて、こまめな手洗いが重要です。
現在の状況が少しでも早く改善することを願っています。
参考:
避難所における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン(東京都福祉保健局)
大規模自然災害の被災地における感染制御マネージメントの手引き(日本環境感染学会)
避難所における感染対策マニュアル(日本感染症学会)