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高2の少年が女性遺体遺棄で逮捕:「面識のない女性を殺した」と両親とともに自首

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
(写真はイメージ:犯罪は許されず制裁が必要。しかし少年には支援もまた必要)(写真:アフロ)

■高2少年逮捕

男子生徒は5日夜、両親に付き添われて警察署に自首しました。取り調べに対し、「人を刺して川に捨てた」「女性とは面識はない」などと話しているということです。また、進士さんの遺体の上半身には、アイスピックのようなもので刺した傷が複数ありました。

出典:テレ朝 news 42歳女性遺体を遺棄した疑い 高2男子生徒を逮捕 テレビ朝日系(ANN) 7月7日

女性遺棄で高2逮捕 遺体には数十か所の傷:日本テレビ系(NNN) 7月7日

事件の詳細は不明ですが、ヤフーコメントには、「少年法いるか?」といった意見も見られます。

■私たちの不安、そして少年法

面識のない通りすがりの人が殺害されるような犯罪は、被害者には何の落ち度もなく、また誰もが犠牲者になる可能性があることから、一般市民に大きな不安を与える犯罪です。

いったい何があったのか、どんな心理が働いたのか。それを冷静に探ることは、ワイドショー的好奇心だけでなく、正しい裁きと類似犯罪防止のために不可欠です。

少年法によって、少年犯罪は成人犯罪よりも、一段刑罰が軽くなります。そこに納得がいかない人も当然いるでしょう。

しかし同時に、基本的には様々な犯罪者が同じように監獄に監禁される成人犯罪の場合よりも、少年犯罪の方が費用と手間をかけます。犯罪の種類や各少年の特徴を配慮し、個別の処遇を考えます。それは、少年を甘やかすことではなく、結果的に再犯防止の効果が高まる面があるとも言えるでしょう。

■殺害の動機、少年たちの行動

一般に殺人の動機として多いのは、怒り恨みなどの人間関係のもつれです。面識のない者の殺人は、全体の一割程度です。

ケンカでも強盗でもない個人的感情のない相手への残虐な殺人は、社会全体を恨んで一度に大勢を殺害しようとする通り魔的大量殺人と、殺害自体に快感を感じ、次々と殺害する快楽殺人的連続殺人があります。

これまでのケースでは、人を殺してみたかったとか、人を解剖したかったといったことを語った加害者もいました。犯行動機として快楽目的ですらなく、異常な好奇心としか言えないような犯行もありました。

大人の快楽殺人者は、巧みな方法を使い逮捕されずに犯行を繰り返す人もいます。未成年の場合は、殺人への衝動を抑えることができず、逃亡計画もほとんどなかったり、自首するケースも見られます。

大人の場合は、自分の異常な性癖や非常に歪んだ嗜好と折り合いをつけながら、大きな犯罪者にはならずに、適度に楽しみながら社会生活を送っている人もいます。

しかし未成年者の場合は、人とは違う自分の感情や思考に悩んでいる人もいます。

異常な少年犯罪を予防するには、厳罰化を進めるだけではなく、困っている少年たちへの心理的支援も必要です。

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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