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ビッグデータから分析した「皇位継承」、実は世間はさほど興味を持っていない?!

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
上皇ご夫妻、天皇皇后両陛下、秋篠宮ご一家(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 皇室の方々の動静や最近のご様子などは、週刊誌やネット記事で取り上げられ、常に国民の関心事となってきた。

 日々、さまざまな情報が飛び交っているが、今、世の中の人びとは皇室の何に興味を持っているのだろうか?

 このテーマについてヤフーの行動ビッグデータをもとに、生活者の実態や動きを可視化するインターネットサービス「DS.INSIGHT」で調査してみた。このデータはヤフーで検索された実数ではなく、推計値となっている。

◆ビッグデータから見た「皇位継承」

 まずは、昨今、政府の有識者会議でも議論され、話題となっている「皇位継承」に関して、2021年の1年間のデータを調べてみた。

 すると、「皇位継承」のキーワードで検索した数より、「女性天皇」で検索した数がおよそ4倍多いと分かった。次に多いのが「女系天皇」であったが、「男系天皇」や「男系男子」で検索した数は極端に少なかったことから、皇位継承に絡んで注目されたのは、女性が天皇となる可能性はあるのかという一点であったのは明白だろう。

「DS.INSIGHT」が示した皇位継承に関するキーワード比較(出典:ヤフー・データソリューション|DS.INSIGHT)
「DS.INSIGHT」が示した皇位継承に関するキーワード比較(出典:ヤフー・データソリューション|DS.INSIGHT)

 一方、「愛子天皇」をキーワードに検索した数はあまり多くなかったものの、例えば、関連するキーワードと想定し得る、「愛子さま 天皇 可能性」で検索すると21,700となり、「女性天皇」と同程度の検索数となった。愛子さまが天皇となる可能性に関心を持つ人びとも、一定数いるということが分かる。

◆「女性天皇」について多くの人が知りたいこと

 では、「女性天皇」のキーワードで検索した人びとは、具体的にどんなことを知りたいと考えたのだろうか?

 「女性天皇」というキーワードと一緒に、どんなワードを入れて検索したかを調べたところ、最も多かったのは「女系天皇 違い」であった。上位8位の中に「歴代」や「過去」というワードも入っており、ニュースなどで「女性天皇」という言葉を見るものの、女系天皇との違いやその歴史がよく分からないと感じている人が多いようだ。

「DS.INSIGHT」が示した女性天皇に関するキーワード比較(出典:ヤフー・データソリューション|DS.INSIGHT)
「DS.INSIGHT」が示した女性天皇に関するキーワード比較(出典:ヤフー・データソリューション|DS.INSIGHT)

 女性天皇の問題については、混同しがちな女系天皇との違いをもっと明確にして、分かりやすい説明を求められていることが浮き彫りとなっている。

◆人びとは皇位継承に興味を持っていない?!

 今回、このテーマについてビッグデータを調べた中で、はっきりと分かったのは、「皇位継承」についての人びとの関心度の低さだ。

 検索数が多いと思われる皇室関連のワードで比較したところ、最も多かった「愛子さま」は562,000、それに対して「皇位継承」は4,900であった。数で見ると「愛子さま」で検索した数の1%にも達していない。「女性天皇」で検索した数も19,700で、「愛子さま」の3.5%にとどまっている。

「DS.INSIGHT」が示した皇室関連のキーワード比較(出典:ヤフー・データソリューション|DS.INSIGHT)
「DS.INSIGHT」が示した皇室関連のキーワード比較(出典:ヤフー・データソリューション|DS.INSIGHT)

 皇室の話題において世の中の人びとは、制度や法律よりも、皇室の女性たちに関心を持っていることが分かった。

関連記事:「女性皇族の中で検索された数が最も多いのは誰? ビッグデータから分析」

https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20220627-00301452

ヤフー・データソリューション | DS.INSIGHT

※この記事は、Yahoo!ニュース 個人編集部、ヤフー・データソリューションと連携して、ヤフーから「DS.INSIGHT」の提供を受けて作成しています。

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放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

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