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記録的な暖冬 ここに用心

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
松本城の雪吊りも暖冬で手持ち無沙汰(長野県松本市 2016年正月)

暖冬に泣き笑い

白馬乗鞍温泉スキー場(2016年元日、新雪が積もったゲレンデ)
白馬乗鞍温泉スキー場(2016年元日、新雪が積もったゲレンデ)

暖冬だと決まって取り上げられるスキー場の雪不足。冬の主な観光資源とはいえ、スキー人口がピーク時の半分となった今、影響はどのくらいあるのだろうかと首をかしげてしまいます。

雪不足が深刻とマスコミが取り上げれば取り上げるほど、客足が遠のき、関係者にとってはありがたくない話でしょう。

自戒を込めて、ステレオタイプな取り上げ方は慎まなくてはと思います。

一方で、好天に恵まれた三が日、初詣は各地で例年以上の人出となり、レジャー施設も賑わいました。いつもならば雪でクローズしてしまうゴルフ場も、暖冬ならば大丈夫とか。暖冬の影響はいろいろな場所に現れています。

インフルエンザの流行遅れる

8日発表された東京都インフルエンザ情報によると、12月28日ー1月3日の都内のインフルエンザ患者報告数は167人で、定点あたり0.43人と流行開始の目安である定点あたり1人を下回っています。

昨シーズンは11月27日に流行が始まるなど、年内に流行が始まる年が多いなか、今シーズンは全国的にも流行が遅れています。天気から考えると、12月の高温と多雨が影響しているのでしょう。

このまま流行せずに済めばいいのですが、過去、流行開始が1月にずれ込んだ2011年ー2012年シーズンは流行開始とともに患者数が急増しました。

また、今年と同じような記録的暖冬だった2006年ー2007年シーズンは1月28日に流行入りし、3月にピークを迎えるなど、例年とは違うインフルエンザシーズンでした。

受験生は気を抜かずに、用心してほしいと思います。

スギ花粉の飛散早まる?

梅が咲き始めた代々木公園(1月7日,撮影:多胡安那さん)
梅が咲き始めた代々木公園(1月7日,撮影:多胡安那さん)

スギ花粉の飛散開始日は記録的に早くなるかもしれません。

東京都のスギ花粉飛散開始日は例年、2月中ごろですが、記録的暖冬だった2007年は1月31日と観測史上最も早くなりました。天気ノートを見返すと、スギ花粉のピークが予想を外れて2週間も早まり、猛威を振るったとあります。

また、この年は2月14日バレンタインデーに全国で春一番が吹き、荒れ模様の天気となりました。青森県の八甲田山ではスキー客ら24人が雪崩に巻き込まれ、2人が死亡する痛ましい事故もありました。

春一番は毎年のように、気象災害を引き起こすけれど、暖冬の年は真冬でも低気圧が猛威を振るうことがあるので、気が抜けません。

【参考資料】

東京都インフルエンザ情報第6号(2016年1月8日発行),東京都健康安全研究センター

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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