【京都市下京区】狩野永徳の描く戦国の京 洛中洛外図屏風が問う歴史の真実を伝えて7年 セミナーが人気!
洛中洛外図屏風というワードをお聞きになった人も多いと思います。京都の市街と郊外の景観や風俗が描かれていて、祇園祭や清水参りなど、戦国期から江戸期にかけての京の季節の風物や行事なども垣間見ることができます。海外を含め160点前後が現存していると言われていますが、状態の良いものは30点から40点で、その内、2点が国宝、5点が国の重要文化財に指定されています。
文化史として学術的な価値が高く、美術史、建築史、都市史、社会史の観点からも研究が続けられています。そんな洛中洛外図屏風の魅力を伝え続ける冨名腰 隆さんがセミナーを開催してから7年目になります。2022年3月19日に河原町五条下ルの「ひと・まち交流館 京都」で行われたギャラリートークで30回目を数えました。元はこの図書コーナーで事務作業などをされていたそうです。
ひと・まち交流館の地下1Fの図書コーナーの前には、国宝の洛中洛外図屏風の上杉本の複製パネルが展示されています。冨名腰さんによると「上杉本は、1560年代の京の景観を描いたもので、織田信長が狩野永徳に描かせ、上杉謙信に送られたものと伝えられていましたが、近年の調査で、元は室町幕府の13代足利義輝が永徳に依頼し、9年の時を経て、後に永徳から信長へ、さらに謙信へ贈られたと考えられる」と言います。
パネルには、冨名腰さんが、一つひとつの場面に貼り付けた付箋がびっしり。何が描いてあるか一目でわかると好評です。今回のセミナー「屏風に描かれた中世の芸能民」では、永徳がかつて相国寺にあった七重の塔から見た京の展望や寺社仏閣、祇園祭などの様子を詳細に描くと同時に、風流踊りや桂女、白拍子、河原者や傀儡子など、当時の庶民の様子を詳細にとらえていることが紹介されました。
人権問題などにも取り組む冨名腰さんによると、「京の様子を詳細に研究しつくした永徳は、義輝が求めた以上の仕事をしている。そこには、河原者や犬神人、芸能民などへの貴族、武家側から見た差別意識の形成過程も見て取れる」と言います。
次回は2022年4月29日に555年目を迎え、注目を浴びる「応仁の乱」をテーマに「応仁の乱555年 戦国時代を生んだ大乱」と題してギャラリートークが開催されます。
参加無料でめっちゃためになりますよ。ぜひ一度参加してみてください!
ひと・まち交流館京都 京都市下京区西木屋町通上ノ口上る梅湊町83-1(河原町通五条下る東側)075-354-8711