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大谷の人気はボンズ級。大谷との勝負を怖がる自軍投手にジャイアンツ・ファンがブーイング。

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
ジャイアンツ戦の9回2死の場面で代打で登場した大谷翔平(撮影:三尾圭)

 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平は、5月31日(日本時間6月1日)にサンフランシスコで行われたサンフランシスコ・ジャイアンツとのインターリーグ戦で9回2死からに代打で登場して四球で出塁した。

 1対6と5点差となった9回表2死走者なしの場面で代打の大谷が打席に入ると、敵地にもかかわらずサンフランシスコのファンから大きな歓声が上がり、大勢のファンがスマートフォンを手にして大谷の姿を夢中になってカメラに収める。

 ナショナル・リーグに所属するジャイアンツのホームゲームのために指名打者制が使えずに、大谷は代打の切り札としてベンチで温存された。エンゼルスにとって代打を使うようなチャンスの場面がなく、大谷の出番は9回2死までなかったが、大谷のプレーを見たい敵地サンフランシスコのファンは、試合最後まで辛抱強く待ち続けた。

 2018、19年にエンゼルスで大谷と一緒にプレーしたニック・トロピアーノが、大谷に対して3球連続でストライクゾーンを外れる球を投げると、大谷の打撃を楽しみに待っていたファンから大きなブーイングが起こった。

 フランチャイズ制が徹底しているメジャーリーグでは、ホームチームの選手に声援を送るのが普通であり、ホームチームの選手がブーイングを浴びるのは大きなミスを続けるなどしたときだけで異例のことだ。

 このブーイングは、サンフランシスコのファンがどれだけ大谷の打席を見たがっているかを表したもの。大谷との勝負を怖がって、ストライクを投げないトロピアーノに、大谷と勝負するようにとの願いを伝えたブーイングだ。

 4球目にトロピアーノがストライクを投げると歓声が上がったが、5球目はまたしてもボールで、大谷が一度もバットを振る姿を見られなかったファンは、再びトロピアーノに対してブーイングを浴びせた。

9回2死から代打で登場したが、一度もバットを振ることなく四球を選んだ大谷翔平(写真:三尾圭)
9回2死から代打で登場したが、一度もバットを振ることなく四球を選んだ大谷翔平(写真:三尾圭)

 ストライクを投げることを恐れるホームチームの投手にブーイングを浴びせられる打者は、メジャーリーグでもとても少なく、敵地のファンもそのプレーを見たいと思う正真正銘のスーパースターの証である。

 ジャイアンツのバリー・ボンズがシーズン73本塁打を記録した2001年や、ハンク・アーロンが持つメジャー記録の755本塁打を追いかけた2007年に見た光景で、大谷はボンズ並に敵地のファンを魅了する本物のスーパースターへと成長を遂げた。

 サンフランシスコのテレビ局でスポーツ・キャスターを務めるクリス・アルバレズ氏は、「大谷の打席は、バリー・ボンズのような雰囲気を感じる」とツイート。大谷にボンズの姿を重ねるジャイアンツ・ファンのツイートも数多く見られた。

 長年、ボンズを見てきたサンフランシスコの人たちが、メジャー最多本塁打保持者のボンズと比較する打者が大谷翔平だ。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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