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米メディアが主張!大谷翔平はルールを曲げてでもオールスター戦で二刀流出場すべき

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
松井秀喜選手の日本人月間最多本塁打記録に並んだ大谷翔平選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【オールスター戦先発がほぼ確実になった大谷選手】

 すでに日本でも大々的に報じられているように、MLBは現地時間の6月29日にオールスター戦ファン投票の第2回中間発表を行い、大谷翔平選手がア・リーグのDH部門で独走態勢に入っていることが判明した。

 ファン投票は現在、各部門のトップ3(外野手部門はトップ9)による決選投票にシフトしているが、MLBが発表したところでは、大谷選手はア・リーグDH部門で63%の獲得票率に達しており、残る2選手のヨルダン・アルバレス選手(20%)、JD・マルティネス選手(17%)は太刀打ちできそうにない状況だ。

 この状況を考えれば、大谷選手のファン投票による選出はほぼ確実で、先発DHとして出場する栄誉を受けることになりそうだ。

【先発DHでは二刀流出場は不可能?】

 そこで気になってくるのが、オールスター戦での大谷選手の二刀流出場だろう。

 現在のオールスター戦は両リーグともにDHを採用するようになっているが、選手起用に関しては公式戦に準じている。ファン投票選出により大谷選手がDHとして先発し、さらに投手として登板した時点で、ア・リーグはDHを使えなくなってしまうわけだ。

 基本的なことだが、オールスター戦に選出された野手は基本的に出場機会が与えられる。さらにMLBの場合毎年1試合しか実施されないので、試合開始からDHを使えなくなるのは、その後の選手起用に大きく影響を及ぼすことになる。

 一方で大谷選手自身も、オールスター戦で先発DHとしてフル出場できそうにないし、登板したとしても長くても1イニング限定になるのが現実的だ。

 そうした状況から考慮すれば、大谷選手が先発DHのまま二刀流出場をするのはかなり困難だと考えなくてはならない。

【途中出場なら二刀流出場がより現実的に】

 ただ今年のオールスター戦でア・リーグの監督を務めるケビン・キャッシュ監督は、大谷選手の二刀流出場を否定していない。「(二刀流起用を判断するには)時期尚早」としながらも、以下のように話している。

 「状況が定まった段階で、ジョー(マドン監督)の考え、エンジェルスの考え、そしてショウヘイ自身がどうしたいのかを確認していく」

 すべてはキャッシュ監督の判断に委ねられるところだが、個人的には大谷選手に先発DHを諦めてもらい、まず試合途中からDHとして出場し、2~3打席に立った後で、試合終盤に投手として起用されるのが理想的だと考えている。

【ルールを曲げても二刀流出場を求める米メディアが出現】

 そんな中、遂に大谷選手のオールスター戦での二刀流出場を切望し、MLBにルール変更を求める米メディアが現れた。

 CBSスポーツのマイク・アキサ記者が、「ショウヘイ・オオタニはオールスター戦で打って、投げるべき。それを実現させるためにMLBがルールを曲げたとしても」というタイトルの記事を、同サイトで公開している。

 アキサ記者の主張は至って簡単だ。ファン投票選出としてDHとて先発した上で投手としても起用し、それでもア・リーグはその後もDHを使えるようにする特別ルールを採用すべきだとしている。

 アキサ記者はその正当性を、以下のように説明している。

 「真実を語れば、我々はこれまでの人生において、オオタニのような存在を目撃したことはない。そして今後二度とこんな経験を味わえないかもしれない。オオタニ自身もこのようなシーズンを二度と過ごすことができないかもしれないからだ。

 これが彼の一生に一度のシーズンだとするならば、オオタニがオールスター戦で二刀流出場できるよう、MLBはすべての権限を行使すべきだ。それがルール変更を伴うことになったとしても、だ」

 今更説明する必要は無いと思うが、米メディアにとっても今シーズンの大谷選手は、誰も目撃したことがない異次元の活躍を続けているのだ。

 アキサ記者が主張するように、是が非でもオールスター戦で大谷選手の二刀流出場が実現して欲しいと願うばかりだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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