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甲子園! 「いとこはミス東大ファイナリストです」

楊順行スポーツライター
(写真:岡沢克郎/アフロ)

 夏の甲子園は、1回戦が終了。ここまでの取材で、さる雑誌の「X」にあげたコメントのうち、いくつかをまとめてみます。

第1日

○健大高崎1—0英明

健大高崎の先発は下重賢慎。実はいとこの下重智華子さんは東大大学院在学中で、ミス東大のファイナリストだそうで、この日は応援に駆けつけてくれたとか。「自分は釧路、いとこは札幌出身なので、年に1回会う程度ですが、ミス東大ファイナリストと聞いて素直にうれしいです」。ちなみに「自分は勉強はあんまり……」らしい。

また今大会から導入された2部制について、森山竜之輔一塁手は「守備位置が最初から日陰で,助かりました」。青栁博文監督も、「5時くらいからベンチが日陰になり、全然違います。第2試合なのに開始時間が決まっているのもありがたかった」とのこと。

第2日

●興南0—5大阪桐蔭

「大きい大会になると緊張するタイプでしたが、ピッチャーリーダーとして引っ張ってくれたし、今日もいいところはありました」とエース・田崎颯士を評価する興南の島袋洋奨コーチ。自身がエースとして春夏連覇した2010年以来の甲子園で、「大阪入りした時から街のにおい、宿舎のにおい、14年ぶりの懐かしさを感じていました」。クーリングタイム中には、自らの映像がスコアボードに流れた。

○小松大谷8—4明豊

胡摩結月一塁手がミットにおさめ損ねたフライを、フォローして見事にキャッチした小松大谷のセカンド、石浦慈人。「ファーストがオーライと言ったんですが、風でどんどん流されてきて、カバーに入りながら、もしかしたら落とすかも、と。僕ら一,二塁間は守備があまりよくなく……」だからこそ、助け合ったわけだ。

第3日

○新潟産大付2—1花咲徳栄

新潟大会からほとんど先攻で勝ち進んできた新潟産大付。「初回に先制するのが理想なので」と主将の平野翔太はいう。埼玉大会では初回の得点が多い花咲徳栄に対し、試合前のジャンケンで勝ったこの日も、とったのはもちろん先攻。ちなみに新潟大会では、負けて先攻になったときでも、チームメイトにはゲンを担いで「ジャンケン、勝ったぞ」といっていたそうだ。

東北の情報を教えてくれよ

●金足農4—6西日本短大付

6点を追う9回、大応援と手拍子を受けて2点差まで迫った金足農。「6年前と結果だけでは比べられませんが、あれだけの応援をしていただけたのは、6年前と変わりませんでした」とは、2018年夏の準優勝メンバーでもある高橋佑輔コーチ。当時は横浜戦で逆転3ランを放ち、旋風の立役者となった。いまのチームで一番を打つ高橋佳佑は弟だ。

第4日

○中京大中京4—3宮崎商

中京大中京では、7回に決勝打を放った仲健太郎ら、髪を伸ばした選手がいるかと思えば、短髪の選手も。なんでも、今年から選手の裁量に任されているそうで、「3年生は、伸ばしているのが多いですね。2年生はまだ遠慮があるのか、短いままのようです」と、ショートの福田心穏。自身は短髪組で、「伸ばすと面倒くさそうたし、3年間坊主で通します」。

●木更津総合5—8神村学園

一時は逆転の二塁打を放った、木更津総合の井上陸一塁手。もともとはピッチャーだが、「ちょっとイップス気味で。打撃を生かして野手になったらどうだ、といわれて」、四番を打つまでに。敗れはしたが前を向き、「投手か野手かわかりませんが、大学でも野球を続けるつもりです」。

○岡山学芸館1—0聖カタリナ

岡山学芸館の佐藤貴博監督は、仙台育英高時代の2001年、センバツで準優勝。いま同校を率いる須江航監督とは同期生で、「同じクラスでしたし、グラウンドから寮の帰りなど、いつも一緒でした」という仲だ。この夏甲子園出場を決めたあとに連絡が来たときは、「もし東北のチームと対戦したら、(情報を)頼むね」とお願いしたとか。

●日本航空4—8掛川西

日本航空の星湯・金子竜馬と、三塁の優馬は、2006年4月と翌年2月生まれ。つまり、同学年の兄弟だ。打順は二番と三番。初回には2人で連打し、2人でホームを踏み、竜馬はいう。「過去にそんなことあったんですかね? 負けて悔しいですけど、最高の高校野球でした」と、敗れはしたが満足げだった。系列校の日本航空石川はセンバツに出場したが、能登半島地震の影響で山梨に一時避難し、一緒に練習していた。「彼らから"甲子園って、こうだったよ"と聞いていたので、緊張してもおかしくないのに、ふわふわせずにプレーできました」(竜馬)

第5日

○早稲田実8—4鳴門渦潮

先発して7回を粘投した早稲田実の中村心大は京都出身。「2006年夏に優勝したときの映像を何度も見て魅力を感じ、中学時代の先輩が早実に進んだこともあり、あこがれました」。その、あこがれのエース・斎藤佑樹さんがこの日、母校を取材していた。和泉実監督によると、甲子園以前にグラウンドにも取材に来ていたそうで、「でもむこうは社長、こちらは現場監督だよ」とのこと。

○鶴岡東2—1聖光学院

投げては1失点完投、打っては決勝タイムリーと大活躍の鶴岡東・櫻井椿稀。8回表、ヒットを打ち果敢に二塁を狙ってアウトになったが、「ひとつでも先の塁を、とつねに意識しています。アウトも、いい思い出になりました」と苦笑い。佐藤俊監督によると「野球好きで野球少年みたいな子。だから走っちゃう」そうだ。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は64回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて55季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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