マイクロソフトがリンクトインを買収してやりたい事
KNNポール神田です!
アメリカ時間の2016年6月13日、Microsoftはビジネスパーソン向けSNSのLinkedInを262億ドル(約2兆8000億円)で買収することを発表
http://gigazine.net/news/20160614-why-microsoft-acquire-linkedin/
Microsoft、Linked inを262億ドル(2兆8880億2600万円)で買収発表、Microsoftの手元資金約920億ドル(10兆1411億6000万円)の28.26%に値する過去最大の買収の価値は?さらに、Microsoftの時価総額は、391B つまり、3910億ドル(43兆999億3000万円)。時価総額で考えると、6.6%の買収額となる。
また、Linked inの4億3000万人の会員ネットワークを考えると、1人あたりの買収金額は?
なんと、1ユーザーあたり6664円(61ドル)の買収額となる。きわめて、ビジネスアカウントというユーザーの人的バリュエーションが高く計算されている。3倍のバリューを考えても1人あたり2万円くらいのビジネスメリットを今後は生みだす必要がある。
Microsoft過去最大の買収
Microsoftの歴史上の買収金額を見ても、Linked inの買収は抜きん出ている。MinecraftはXboxでのゲームコンソール上のキラーコンテンツとしての買収。NokiaはWindows Phoneとしてのシナジー。Skype買収もその流れとオフィススイートとの垂直統合。そして、Linked inは、ハードウェアやソフトウェアというつながりではなく、ネットワークや、メンバー数という成長への統合化を目指した買収であった。
なんといっても、世界12億人のオフィスユーザーと、Linked inの4億3300万人のビジネスネットワークが統合化されることのメリットが一番考えられる。Linked inにはすでに世界1億500万のMAU(月間アクティブユーザー)がある。
AppleもGoogleも、SNSでは失敗続きだ。Microsoftもfacebookと広告事業やBing事業での提携を結んでいるが直接的なSNSの拡張性はない。ビジネスSNSとしてはYammerを取り組んできた。
世界最大のプロフェッショナル向けクラウドと世界最大のプロフェッショナル向けネットワーク
これがMicrosoftの狙いだ。クラウドによるサブスクリプションモデルによる製造物のないOSメーカーとして、さらに、アクティブなリアルなビジネスネットワークがさかんなSNS。いろんな展開が考えられるだろう。しかし、海外ではデフォルトのビジネスネットワークの基盤であるLinked inではあるが、日本国内では、転職SNSとしての位置づけなのか積極的なユーザーは少ない。
注目すべき点は、ビジネスネットワークでありながらLinked inは企業のページが900万ページある。
Facebookのプライベートな関係性での企業ページではなく、ビジネスで結びついた企業のページが同じページ機能でもFacebookと差別化できそうだ。
これらがツールやソフトウェアとしてのMicrosoftとからリアルなビジネスネットワーク構築というトライが可能になってくる。
しかし、なんといっても、気になるのは、長年、製品を作ってきたカルチャーの企業はSNSが苦手な傾向がある。そこには、今までのタックスのように課税されているようなビジネスは毛嫌いされる傾向がある。かといって広告モデルというメディアビジネスを介在させるとビジネスでは使いにくくなってしまう。
そのサジ加減を今後どのようにMicrosoftが展開するのかが、とても気になる買収劇だ。
米Yahooと同様にネットワーク系のベンチャー企業を買収しても持て余してしまう事例は、短いネットの歴史の中に数多く見られてきたから。Microsoftの一つの歴史が終焉を迎え、新たなビジネスへのバトンタッチの瞬間を見たようだ。