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「得点マシーン」ハーデンが渡邊雄太のチームメイトに?! ハーデン、ラプターズ入りの信憑性は?

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
トレードを要求しているロケッツのジェームズ・ハーデン(撮影:三尾圭)

Text & Photos by KIYOSHI MIO/All-American Sports

 2017-18年NBAシーズンのMVP選手で、昨季まで3シーズン連続して得点王に輝いているNBAの「得点マシーン」ヒューストン・ロケッツのジェームズ・ハーデンのトロント・ラプターズへの移籍説が囁かれている。

 3シーズン連続で地区優勝を果たしながらも、プレイオフでは結果を残せないでいるロケッツは、主力選手を放出してチーム再建に踏み切っている。

 オクラホマシティ・サンダーでハーデンと一緒にプレーして、2016-17年シーズンにはMVPに選ばれたラッセル・ウエストブルックを昨オフにトレードで獲得したが、僅か1年でウエストブルックを放出。NBAの歴代でも最高級のオールラウンダーであるウエストブルックは、ワシントン・ウィザーズの移籍して、八村塁のチームメイトになった。

 そんな大胆なチーム改革を推し進めているロケッツの最大にして最後のトレードピースがハーデン。

 ハーデンのトレード先はフィラデルフィア・76サーズが本命視されているが、ブルックリン・ネッツやマイアミ・ヒート、ミルウォーキー・バックスも候補に挙がっている。

 ハーデンはロケッツに対してトレードを要求しており、優勝の可能性があるチームとして、シクサーズ、ネッツ、ヒート、バックスの4球団とのトレードを希望。

 ここにきて、ハーデンのトレード先として渡邊雄太が在籍するラプターズも浮上してきた。

NBAナンバー1の得点力を誇るジェームズ・ハーデン(写真:三尾圭)
NBAナンバー1の得点力を誇るジェームズ・ハーデン(写真:三尾圭)

 ハーデンの交換条件としてロケッツが求めているのは、チームの核となれる主力選手と複数のドラフト1巡目指名権。ロケッツは強気な姿勢でトレードに望んでおり、どこまでロケッツの要求を下げられるかがトレードの鍵となる。

 一昨季にNBA制覇したラプターズは、昨季もカンファレンス・セミファイナルまで勝ち進み、今季もイースタン・カンファレンスの優勝候補の1つに挙げられる強豪で、ハーデンが望む「優勝の可能性がある」チーム。

 仮にハーデンのトレードに踏み切った場合には、エースのカイル・ラウリー、若手スウィングマンのパトリック・マカウかOG・アヌノビー、2つか3つのドラフト1巡目指名権をロケッツは要求するだろう。

 オールスターに6度選ばれているラウリーは、2012年オフにロケッツからラプターズへトレードされるまで、ヒューストンで3シーズン半プレーしていた。

 ロケッツにとってこのトレードは非常に魅力的である。

 ラプターズからは他のチームよりも価値の高い見返りを得ることができ、ラウリーはハーデンほどの得点力はないが、プレイオフでの経験が豊富なリーダーで、ハーデンが達成できなかったチームを優勝に導いた経験も持つ「勝者」である。

 アヌノビーはさらなる成長が期待でき、「エース」になれなくても、チームの2番手か3番手としてエースを支える選手にはなれるはずだ。

個人能力ではハーデンに劣るラウリーだが、リーダーシップ力とチームを勝たせる能力では上回る(写真:三尾圭)
個人能力ではハーデンに劣るラウリーだが、リーダーシップ力とチームを勝たせる能力では上回る(写真:三尾圭)

 ラプターズにとって、このトレードはメリットよりもデメリットの方が多い。

 ラウリーはラプターズの精神的支柱であり、彼を失うデメリットは果てしなく大きい。

 ラプターズはチームワークで優勝を勝ち取ったチームであり、リーグでナンバー1のアイソレーション選手であるハーデンが入ることにより、ボールが回らなくなり、チームのリズムも崩れてしまう。また、守備にも力を入れているラプターズにとって、守備で手を抜くハーデンはチームにフィットしない。

 ハーデンとラウリーの1対1のトレードであっても、ラプターズは断った方が得策だ。それほどまでにハーデンはラプターズのチーム・カルチャーに馴染まない存在である。

 日本のNBAファンとすれば、ウィザーズで八村とウエストブルックが一緒にプレーするように、ラプターズで渡邊とハーデンがチームメイトになることはワクワクする。

 しかし、ハーデンのラプターズ入りは噂だけで終わりそうだ。

ハーデンと渡邊が今季、同じチームでプレーすることはなさそうだが、対戦相手として同じコートで戦うシーンに期待したい(写真:三尾圭)
ハーデンと渡邊が今季、同じチームでプレーすることはなさそうだが、対戦相手として同じコートで戦うシーンに期待したい(写真:三尾圭)

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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