宮城県 雪は少なくても樹氷は順調に“冷凍保存”中
きょうは二十四節気の大寒=一年で最も寒さが厳しくなる頃とされています。
裏を返せば、冬はもう折り返しに差し掛かっているということなのですが、今シーズンの宮城県はあまり雪が降っていません。きのうまでの累積降雪量は、宮城県内は平年の7割程度にとどまっています。
雪が少ない時に心配されるのが、宮城県の冬の観光資源の一つ「蔵王の樹氷」です。
樹氷とは、雲の中に含まれる過冷却水滴(0℃以下でも凍っていない水滴)が強風で木にぶつかって凍りつき、そこに雪が付着してできるもので、宮城県と山形県にまたがる蔵王連峰の標高約1600m付近で見られます。
その気象条件から、寒冬の年は立派な樹氷が出来る一方、暖冬で雪が少ない年は成長が遅れたり、鑑賞できる期間が短くなったりしてしまいます。
今シーズンは雪があまり降っていないためその出来を心配していたのですが、樹氷の鑑賞ツアーを行っているすみかわスノーパークに聞いたところ、例年より早く、既に立派な樹氷ができているとのことです。
詳しく話を聞くと、今年のポイントは上空の気温にあるようです。
グラフは昨年12月下旬からの、石川県輪島の上空約1500mの気温の推移です。
昨年12月28日頃に「年末寒波」と言われた強い寒気が流れ込んできました。今シーズンはまずこの年末寒波によって一気に樹氷が出来上がったそうです。
その後は極端に強い寒気の流れ込みがあまりないため、雪もあまり降っていないのですが、反対に極端な気温の上昇もありません。これが今シーズンのポイントです。
真冬であっても、日本海に低気圧が進んできた時などは暖気が流れ込んできます。そうすると樹氷原があるような標高であってもプラスの気温になってしまい、せっかくできた樹氷がとけて崩れてしまうことがあります。
実際、暖冬だった2015~2016年はたびたびそうした気温の上昇があり、何度も樹氷が崩れてしまったそうですが今年はそれがない、言わば「冷凍保存」されているので樹氷の状態が安定しているそうです。
向こう1週間も、北日本では平年並みの気温の日が多い予想ですので、まだまだ冷凍保存されている樹氷を楽しむことができそうです。