チームリーダーの錦織圭に引っ張られて、男子テニス・デビスカップ日本代表は成長できるか!?
男子テニス国別対抗戦デビスカップ・ワールドグループ(以下WG)プレーオフ(入れ替え戦)「日本vs. ウクライナ」(9月16~17日、大阪・靭テニスセンター)で、日本(ITF国別ランキング16位)は、5戦全勝でWG残留を決めた。
今回はその直前に、今季最後の4大メジャーであるUSオープンテニスでベスト4に進出した錦織圭(ATPランキング5位、大会時、以下同)に、疲れが残っていたためにダブルスだけプレーをさせ、シングルスには23歳のダニエル太郎(88位)と20歳の西岡良仁(96位)が起用された。
「若い2人が僕らの想像よりも超えた力を発揮する可能性を優先しました」と語ったデビスカップ日本代表の植田実監督によるこの采配は当たり、若手2人が2勝を挙げたのは大きかった。さらに錦織が、杉田祐一(98位)とのダブルスでも勝利し、日本はWGプレーオフで初めて3連勝で勝利を確定させた。
まさに日本代表チーム全員で勝ち取った勝利だった。錦織の勝利に頼り過ぎる部分があった日本代表にチームの新しい可能性が示されたことは、今回の一番の収穫だっただろう。
「(錦織を)できれば休ませてあげたいなというのはありました。今回初めて自分で1勝を挙げて、チームに貢献できて嬉しい」と語った西岡は、デビスカップでのシングルス初出場で初勝利に胸を張った。
ダニエルも、「今回は、錦織選手がいなくてもいても、僕達が勝てるチャンスはある相手達なので、とにかく勝ててよかった」と、チームの中で自分の存在が少し大きくなり、新たな1歩を踏み出せたと自信を深めた。
そして、チームリーダーである錦織は、「チームのみんながレベルアップして、自分自身も杉田選手とダブルスをして、新たな道も見えた。今回日本チームとしてすごく得たものがすごく大きかった」と一番嬉しそうに語った。
日本代表にとって、WGでの戦いが5季目となる2017年の1回戦(2017年2月3~5日)で、日本は、フランスとホーム(会場未定)で対戦することが決まった。
フランスは、現在世界のトップ100に、8位のガエル・モンフィスを筆頭に11人もおり選手層が非常に厚い。デビスカップでは、9回優勝しており(1927、28、29、30、31、32、91、96、2001年)、古豪であり強豪国だ。
初めて日本代表4人がトップ100という布陣で臨み、4人全員で勝ち取った3勝によるWG残留だが、2017年のWGでの戦いでは、やはり錦織の力が日本代表には必要とされる。錦織のシングルスでの勝利をどう活かすかがやはりキーポイントになり、錦織以外にWGで勝てる選手がもう一人育ってきてほしいところだ。
植田監督は、WGに残留はできたが、そこで勝ち上がるには課題があると指摘する。
「ベスト8、4にわれわれが行きたいと願った時に、正直なところ戦力としてはまだそろっていない。今、錦織がトップ5にいますが、少なくとも30位ぐらいに1人いて、50位ぐらいに1人いて、というところに目指して、一人一人が上げていければチャンスは来る」
今後WGに残り続け、さらに勝ち上がるためには、錦織一人の力に頼るだけでは限界がある。そして、錦織もまた、日本代表全体のレベルアップを望む。
「やっぱり欲を言えば、まだまだベスト4のメンバーを見ても、まだまだ足りないところがたくさんあります。現在4人がトップ100にいるのはすごいことだと思う。もっとトップ100に人数がいれば、トップ50もどんどん見えてくるだろう。まだ数年、残留、(WG)1回戦、上下してますけど、たぶん時がくれば、どんどん上に行けるチームになるかな」
「このまま日本が強くなっていくのは、絶対だと思う」という錦織の力強い言葉に引っ張られて、2017年に、日本代表はどのような進化ができるのか、そして、強豪フランスを相手にどんなプレーを見せるのか注目だ。