第3世代iPhone SE「発売当日から1円」なぜ?
3月18日に発売された第3世代「iPhone SE」が、発売当日から「1円」で売られていることが話題になっています。なぜそんなことが起きているのでしょうか。
筆者が都内の家電量販店で確認したところ、たしかにソフトバンクの売り場では第3世代iPhone SEが「1円」で売られていました。複数の量販店が似たような条件で、3月末までセールを実施しているようです。
2022年3月27日追記:
ソフトバンクに加え、auも似たような条件で第3世代iPhone SEのセールを実施しています。他社からの乗り換えを条件に、都内のビックカメラでは一括1円、ヨドバシカメラでは一括10円でした。
1円となる条件を見ていきましょう。対象は第3世代iPhone SEで最も安い64GBモデルで、ソフトバンク版の本体価格は税込6万7680円です。このモデルのアップル直販価格は税込5万7800円なので、ソフトバンク版は9880円高いのですが、これが一括1円になります。
最近はスマホ本体を一定期間後に返却することで割引を受けられる残価設定型のプログラムに人気がありますが、これは通常の端末購入であり、本体を返却する必要はありません。
割引の内訳としては、「新規・乗り換え(MNP)・機種変更・端末購入」で4万5679円、「乗り換え」または「5〜30歳の人による新規契約」で指定プランに加入すると2万2000円。合計6万7679円が値引きされ、一括1円になります。
他キャリアからの乗り換えだけでなく、新規契約でも「5〜30歳」なら対象になります。ソフトバンクは他の機種でも「U30」向けにキャンペーンを実施しており、親が子どものために契約する場合も対象になります。
乗り換えには「ワイモバイルやLINEMOからの乗り換え(番号移行)」も含まれます。最近のソフトバンクはメインブランドの回線数が伸び悩んでおり、iPhone SEをきっかけにメインブランドに戻ってきてほしいという思惑が感じられます。
加入を求められる「指定プラン」とは、月額7238円の無制限プラン「メリハリ無制限」または「スマホデビュープラン」となっています。後者はガラケー利用者や子どもなど初めてスマホを使う人に向けたプランです。
細かい注意事項として、「1人1台限り」「開封して電源が入ることを確認」という条件が入っています。本体を開封すると未開封の状態より中古での買取価格が下がる場合があることから、「転売」対策とみられます。
「単体購入」は狙い目だがトラブルも
こうして条件を見ていくと、「端末が1円といっても、毎月高い料金を払い続けることになるのだから結局は安くない」と感じる人が多いでしょう。
一方で、まったく別の見方をする人もいます。4万5679円の割引は「新規・乗り換え・機種変更・端末購入」が対象となっており、回線契約をしない「端末購入」の場合でも割引が適用されることが分かります。
法規制により、回線契約を条件とした端末の割引は2万2000円が上限となっています。つまり回線契約を条件に1円で買える端末は、2万2001円で単体購入できなければおかしい、というロジックが成り立つことになります。
これはアップル直販価格と比べても到底考えられない大きな割引です。法規制に至った背景を考えれば、iPhoneを発売日から1円で売ること自体に無理があるわけですが、転売対策もあることから、端末単体で買う人は少ないとソフトバンクは見ているのでしょう。
実際には、店頭で「単体購入用の在庫はない」などと説明され、販売を拒否されたとの報告が相次いでいます。単体で売っても店舗側に利益はないとみられることから、なるべく売りたくないとの思惑があるのでしょう。総務省は是正を求めていく方向としているものの、しばらくは混乱が続きそうです。