100インチ画面のスマホ登場?!
以前から、携帯電話にプロジェクターを内蔵するアイデアや技術は存在したが、映像の暗さ、解像度、消費電力などの面で実用的ではなかった。筆者の知る限り、プロジェクターを内蔵して成功している小型機器は、ソニーのムービーカメラくらいだろう。
スマホやタブレットが普及しているのは周知の事実だが、携帯用途を考えると画面サイズに限界がある。テキスト、写真、動画と、表示したい情報がますます増えるなか、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を含め、新しい表示技術が求められているのだ。
今回、ソニーが発表した「ピコプロジェクターモジュール」は、外形が僅か、縦52.5mm×横63.0mm×高さ7.2mmと超小型かつ薄型で、主にスマホやタブレット端末への搭載を狙ったものだろう。
得られる画面の明るさは発表内容に明示されていないが、最新のレーザー光源技術を考えると、オフィス程度の明るさでも、40インチ程度までは充分に文字や図柄が識別できる可能性が高い。消灯した薄暗い環境なら、100インチクラスも実用的ではないだろうか。
他にも最新技術が搭載されていて、映像の生成は、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)ミラーで走査する方式なので、ピント合わせが不要だ。言い換えると、最終的なスマホやタブレット端末製品は、投写のためのレンズを必要とせずに小型化できるし、ユーザーもピント調整に手こずることは無い。より大画面にしたければ、投写距離を長くするだけで良い。
どんな製品が登場するか?!
今回ソニーが発表した「ピコプロジェクターモジュール」は、あくまでも部品である。これをどのような製品に仕立てるかは、完成品メーカーのアイデア次第だ。超コンパクトなプロジェクター単体製品でも良いのだが、モジュールの寸法と勢いのある製品ジャンルを考えると、プロジェクター内蔵のタブレット端末が登場するのは間違いないだろう。パソコンでも構わないが勢いが無いし、スマホはサイズや電力消費の面からやや無理がありそうだ。
タブレット端末にプロジェクターが内蔵されれば、ビジネスなら間違い無く出張プレゼンには重宝である。もう「欲しい!」という声が聞こえて来そうだ。
撮影した写真や動画を、パーティーの席でシェアする用途にも、大画面はありがたい。
家庭内でも、ネット配信の映画、テレビ番組、動画を、壁に映して大画面で楽しめる。解像度は1920×720とHD対応なので、画質面でも大いに期待できる。若者の独り暮らしなら、もうテレビは要らないかもしれない。
ほかにも、プロジェクター映像を壁や手の平に投写(マッピング)し、より直感的なインターフェイスとして活用する研究も進んでいる。
超小型プロジェクターが登場すれば、昔のSF映画で見た"未来"が”現実味”を帯びてくる。
「ピコプロジェクターモジュール」を活用したユニークな製品やサービスの登場に注目したい。