東京で4年ぶり、12月の初雪 降雪量予想の難しさは気温にある
今シーズン一番の強い寒気で、26日は東京や鹿児島で初雪が降った。山陰や北陸の市街地でも積雪が多くなっている。雪水比を調べると、降雪量が気温に大きく左右されていることがわかる。世界でも珍しい日本の雪とは。
未明に雪がちらつく
きょう(26日)は全国的に寒さが厳しく、日本海側の広い範囲で本格的な雪が降っています。
また、太平洋側でも雪がちらついている地域があり、東京都心は26日未明に初雪が観測されました。平年より8日早く、12月の初雪は2017年以来、4年ぶりです。
今朝は鹿児島市内でも雪が降り、こちらは平年より11日早い初雪です。鹿児島というと南国のイメージが強いせいか、東京と鹿児島の初雪が同じ日になったことに目が留まりました。平年と比べても3日ほどの違いしかなく、今回の寒気が強いためなのか、東京がだんだん暖かくなっているためなのか、どちらかというと気候の変化を感じます。
一晩で街の様子が一変
山陰、近畿、北陸の市街地でも今シーズン初の本格的な積雪です。こちらは26日午前9時頃のJR富山駅前の様子です。昨日(25日)夕方まで、雪は全く積もっていなかったのですが、今朝はご覧の通り。午前9時の積雪は30センチです。
日本の上空に非常に気温の低い空気(いわゆる強い寒気)が流れ込むと雪雲が発達し、降る雪の量が増えます。ただ、雪の量は寒気の強さだけで決まるのではなく、降るときの気温が大きく影響します。
雨と雪の量を比べたら
こちらは富山市内に降った雪と雨を比較したものです。気象台では降雪量だけでなく、降った雪を融かして降水量も観測しています。富山では26日0時~9時までの降雪量が20センチ、降水量は9ミリでした。
比較のために、鳥取市内の降雪量と降水量も調べてみました。こちらは降雪量9センチに対して、降水量は23ミリです。
雨と雪の割合(雪水比)
1ミリの雨が何センチの雪になるのか、これを雪水比と言います。
今回、富山の場合は降水量1ミリに対して、降雪量は2.2センチです(雪水比は2.2です)。一方、鳥取は降水量1ミリに対して、降雪量は0.4センチでした(雪水比は0.4です)。
つまり、富山は少ない雨量でたくさん雪が降り、鳥取では雨量は多かったけれど、雪は少なかった。なぜ、こんなに違うのでしょう?
軽い雪と重たい雪
それは気温に違いがあるからです。富山は平均すると氷点下1.5度くらいで雪が降っていました。一方、鳥取は1度くらいでした。その差はわずか2度程度ですが、雪の質に大きな違いが生まれます。気温が低いときに降る雪はフワフワとした軽い雪、気温が高いときに降る雪はべちゃべちゃとした水分の多い重たい雪です。
太宰治は「津軽」のなかで、津軽に降る七つの雪(こな雪、つぶ雪、わた雪、みづ雪、かた雪、ざらめ雪、こほり雪)を紹介しています。日本はヨーロッパなど高緯度の寒さが厳しい地域と比べ、気温が高くて雪が降る、世界でも珍しい国です。それだけに、降雪量予想の良し悪しは気温が鍵を握っています。
【参考資料】
太宰治「津軽」、青空文庫より