この噂も現実化。これで2つ目のタイトル・スポンサー降板が決定。PGAツアーは大丈夫か!? #ゴルフ
昨今、米ゴルフ界では、とても気になる噂が先行し、その噂が現実化することが続いている。
世界ランキング3位の「ジョン・ラームがリブゴルフへ移籍する」という噂は昨年12月に現実となり、「タイガー・ウッズとナイキの27年間のパートナーシップに終止符が打たれる」という噂は1月8日に現実となったばかりだ。
そして1月11日(米国時間)には、PGAツアーの大会を長年務めてきた「ファーマーズ・インシュアランスがタイトル・スポンサーから降板する」という噂が現実となり、米ゴルフ界に落胆と不安が広がっている。
ファーマーズ・インシュアランスは、米カリフォルニア州のトーリー・パインズで開催されるPGAツアーの大会、ファーマーズ・インシュアランス・オープンを2010年からタイトル・スポンサーとして支え続けてきた。
過去の優勝者には、タイガー・ウッズやバッバ・ワトソン、ジェイソン・デイ、ジョン・ラームといった大物選手が名を連ねている。
しかし、契約満了となる2026年以降は「同社は契約を更新しない」ことを、米スポーツ・ビジネス・ジャーナル紙が報じた。
今年の大会を含め、2025年大会と2026年大会は予定通り、ファーマーズ・インシュアランス・オープンとして開催されるが、これまで会場内で行われてきた米空軍による航空機のショーといった華やかなアトラクション企画は「大幅に縮小される見込み」だという。
ファーマーズ・インシュアランスがタイトル・スポンサーを降板するかもしれないという噂は、同社のアンバサダーを務めてきたリッキー・ファウラーのキャップの右サイドから同社のロゴマークが消え、ファウラーが「契約更新はしないと言われた」と米メディアに語った今季開幕戦、ザ・セントリーの週から一気に広まった。
米メディアの一部からは、最近になって同社のCEOが交代したことを指摘し、「トップの交代で社内の方針も転換されることはよくあること。とりわけトップがゴルフ好きではない場合には、ゴルフ関連のプロジェクトが打ち切られることも、しばしばある」といった声も上がっていた。
そして、噂は現実となった。
気になるのは、PGAツアーを長年支えてきたビッグ・スポンサーの降板が、これで2つ目となる点である。
米ノース・カロライナ州の名門、クェイルホロウCCが舞台となるウェルスファーゴ選手権のタイトル・スポンサー、ウェルスファーゴは、契約満了となる今年の大会を最後に降板することが、すでに決まっている。ファーマーズ・インシュアランスは、それに続く2つ目の降板となる。
PGAツアーのレギュラー大会のタイトル・スポンサーとなるためには、通常は1300万ドル(約18億9700万円)から1500万ドル(約21億8900万円)が必要と見られている。その大会が賞金総額2000万ドルのシグネチャー・イベントに選ばれると、スポンサーの負担はその分、さらに跳ね上がる。
米ゴルフウィーク誌によると、ウェルスファーゴは「タイトル・スポンサーであり続けたい」というのが本音だそうだが、巨額の負担を求められ、「無い袖は振れない」ということで、泣く泣く降板を決めたという。
続けざまにビッグ・スポンサー2社の降板が決まり、PGAツアーの先行きを案じる声はもちろん聞こえてくる。
だが、その一方で、なんとかしてスポンサーを続けたいと願い、そのための策を講じているスポンサーもある。
米ゴルフウィーク誌の調べでは、RBCカナディアン・オープンとRBCヘリテージの2大会のタイトル・スポンサーを務めているRBC(ロイヤル・バンク・オブ・カナダ)は、複数年契約を結ばず、あえて1年ごとに契約を見直す形を取っているとのこと。
短期(単年)契約なら見通しも利くし、「巨額×年数」のプレッシャーも軽減されるということで、今後はタイトル・スポンサーを短期で契約するパターンが増えていくのかもしれない。
たとえ短期契約であれ、何であれ、スポンサーあってのPGAツアーである。とにもかくにも「スポンサー様の確保と維持」は、PGAツアーにとって今後のトップ・プライオリティになるはずである。