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ポートランド・トレイルブレイザーズで成長中のSF「同期として八村塁には負けられない」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
2年目のナシアー・リトル(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現地時間3日、ポートランド・トレイルブレイザーズは、オクラホマシティ・サンダーに133-85で圧勝した。

リラードを温存しても大勝できた
リラードを温存しても大勝できた写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 点差が開いていたこともあり、3Q終盤から試合終了まで、セカンドユニットの面々だけがコートに立った。エースのデイミアン・リラードは25分23秒の出場で、16得点6アシスト3リバウンド。後輩たちにプレー時間を譲った。

1月16日のアトランタ・ホークス戦で左足を骨折したマッカラムは、復調してきた
1月16日のアトランタ・ホークス戦で左足を骨折したマッカラムは、復調してきた写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 左足を複雑骨折して2カ月間戦列を離れ、3月16日のニューオーリンズ・ペリカンズ戦でようやく復帰したCJ・マッカラムは25分38秒コートに立ち、20得点4アシスト4リバウンドをマーク。20得点は、この日の両チームを合わせてトップである。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 そのマッカラムのバックアップであるシューティングガードのアンファニー・シモンズは、チャンスを十二分に生かした。22分32秒のプレー時間で、16得点。2021年のダンクコンテスト優勝者であるシモンズは、8本の3ポイントを含む11本のシュートを放ち、5本(3ポイントは3本)を決めた。

ナシアー・リトル 身長198cm、体重99.8kgのスモールフォワードだ。
ナシアー・リトル 身長198cm、体重99.8kgのスモールフォワードだ。写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ブレイザーズの若手の中で私が注目するナシアー・リトルは、23分55秒の出場機会を与えられ、13得点8アシスト。7本のシュートのうち5本を決めた。そのうち2本が3ポイントであった。

 第3Q残り3分に見せた迫力満点のダンク、その後のリバウンドにも成長を見た。

一歩ずつ確実に大きくなっている感があるブレイザーズの背番号9 ナシアー・リトル
一歩ずつ確実に大きくなっている感があるブレイザーズの背番号9 ナシアー・リトル写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 リトルの今シーズン初出場は、1月7日のミネソタ・ティンバーウルブス戦の4Q、残り7分47秒においてであった。3分3秒後にリバウンドをとり、その9分後にジャンプショットを決めた。

 このゲームでは135-117でトレイルブレイザーズが勝利したが、リトルが何度ボールを求めても、アンファニー・シモンズやルーキーのCJ・エレビーといったチームメイトからパスは出かった。彼ら若きガードは「俺が決める!」という思いが強く、リトルが目に入っていないかのようだった。

テリー・ストッツ監督
テリー・ストッツ監督写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 1月のリトルの平均プレー時間は9分、2月が13分、3月は18分。4月3日のサンダー戦は、3月26日のオーランド・マジック戦以来の出場だった。

 1月、2月はフリーの状態でシュートを外したり、ターンオーバーを許したり、大事な局面でファールしてしまったりと、キャリア不足に起因するミスを繰り返していた。しかし、ブレイザーズのテリー・ストッツ監督による「使いながら育てる」策により、着実に力をつけている。

今シーズンの開幕時とは別人だ
今シーズンの開幕時とは別人だ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 リトルはマイケル・ジョーダンの母校であるノースカロライナ大で1シーズンのみプレーし、アーリーエントリー。2019年のドラフトでブレイザーズから指名され、契約した。

 昨シーズンはルーキーらしく、先輩が用意したミッキーマウスのバックパックを背負って控室に姿を見せていた。

 八村と同期であるリトルは、昨季私のインタビューに応じ「八村のことは大学時代から知っている。力のある選手だし、サイズも才能も申し分ないよね。同期として負けらない」と力強く話した。

 リトルの成長、そしてストッツ監督の若手育成法に注目したい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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