千葉とともに12月を9勝1敗で乗り切ったSR渋谷がいよいよ地区首位争いに本格参戦か?
【12月を1敗で乗り切ったSR渋谷】
Bリーグは2020年最後となる第15節を迎え、東地区の強豪チームの一角をなすサンロッカーズ渋谷は敵地で京都ハンナリーズと対戦し、103-98、88-83と連勝に成功。通算成績を17勝8敗に伸ばし、東地区で単独3位に躍り出た。
京都は第14節で川崎ブレイブサンダースに連勝し、チーム状況が着実に上向き始めていたこともあり、2試合とも終盤までもつれる接戦となったが、重要局面で試合巧者ぶりを発揮し京都を振り切っている。
この結果SR渋谷は東地区首位の千葉ジェッツとともに12月を9勝1敗で乗り切っており、現在のチーム力が強豪チームの中でも一段抜きんでているのが理解できる。
【伊佐HCも実感するディフェンスの向上】
実は伊佐勉HC自身も、12月は思い描いた通りも戦い方ができたと話している。
「もちろん全勝したかったですけど、僕の頭の中では今月は1敗か2敗で乗り越えたいというのがあって、1回アルバルクさんに負けただけで最高のかたちで12月を終えられたかと思います。
バイウィークの2週間の練習がすごく良くて、そこで去年のようなディフェンスが戻りかけたかなと…。うちのスタイルからすると(シーズン序盤は)練習不足が否めなかったので、そこを新しく入ったマカドゥ選手も含めて、もう1度自分のたちのディフェンスの細かい部分を、その時期に練習できました。
そこからディフェンスが良くなって、結果もついてきて、選手たちも自信を持ち始めて、今日に至ったかなと思います」
【バイウィークの調整で本来のチーム力が復活】
SR渋谷は、元々昨シーズンからその実力は折り紙付きだった。シーズン途中で打ち切られてしまったが、チーム成績は27勝14敗と、チャンピオンシップ進出圏内を維持していた。さらに今年1月には天皇杯を制するなど、強豪チームと互角に渡り合っていた。
ところが今シーズン開幕当初は新型コロナウイルスの影響で、ほとんどのチームは外国籍選手がチームに合流できないなど、準備不足のまま戦うしかなかった。強力ディフェンスを信条とするSR渋谷にとって練習不足は致命的で、10月は4勝6敗に終わっていた。
そこから11月に入り各チームともに戦力が整い始める中、リーグは同月後半に2週間のバイウィークを迎え、ここで改めてチームとしてしっかり準備を整えることができた。
バイウィークでチーム・ディフェンスを立て直したSR渋谷こそ本来のチームの姿であり、12月の好成績は掛け値無しのチーム力だといえる。
【スター選手がいなくてもチーム一丸で戦えるプロ集団】
これまで東地区で強豪と言われてきた、宇都宮ブレックス、アルバルク東京、千葉、川崎は、日本代表候補選手などのスター選手を多数抱えるチームだ。
一方のSR渋谷は、キャプテンのベンドラメ礼生選手が代表候補に入っているのみで、他の強豪チームから比べると、決して派手さはない。だがチーム力では決して見劣りすることなく、むしろ12月は千葉と双璧をなす存在になっている。
その理由を伊佐HCは、以下のように説明する。
「一番はプロフェッショナリズムだと思います。プレータイム関係なく、与えられた仕事を全うできるという選手を集めましたし、そこをしっかりやれているのが、プロ意識が高い集団かなと思いますし、それもいい結果に繋がっていると思います。
また負けた時でも、やる仕事のクォリティが下がっていたりと(敗因が)明確なので、そこの修正も簡単というか、選手全員が自分に矢印を向けてそれができている集団なのかなと思います」
【ベンドラメ選手「絶好調ではなく僕たちの実力」】
伊佐HCが指摘するように、12月の快進撃で選手たちも確実に自信をつけているようだ。ベンドラメ選手がチームの声を代弁してくれた。
「チームはすごくいいと思います。雰囲気もいいですし、同じ方向を向いて1つなって戦っているというのが毎試合感じられます。
1つのミスに関しても全員でフォーカスして、どういうことが起きたからミスが生じたのかをしっかり共通理解を持って日々成長していけているというコミュニケーションもとれています」
だがその一方で、現在のチーム状況を“絶好調”と評されることに違和感を抱いているという。
「今調子がいいとか、絶好調とか言われるんですけど、僕はその言葉が余り好きじゃなくて、それは僕たちの実力であって、結果も調子がいいから勝っているわけではないし、自分たちがやってきたことに自信を持って戦っています。
(12月は)上位チームと当たっていないのもあるかもしれないですけど、それでも難しい試合展開もあったので、それをこぼさないでしっかり勝ち切れたというのは何よりも大きい経験だと思います」
1月に川崎、宇都宮との対戦を控えるSR渋谷。そこでどんな戦いを見せてくれるのか、期待したいところだ。