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感心できない中日のドラ1ルーキー小笠原慎之介の育成方針といきなりの先発起用

豊浦彰太郎Baseball Writer
中日の小笠原育成方針には首を傾げたくなる部分もある。(写真:アフロ)

中日のドラフト1位ルーキー、小笠原慎之介の1軍初登板は31日から開幕する交流戦の開幕戦対ソフトバンクでの先発になる可能性が出てきたようだ。ハッキリ言って感心しない。

中日のドラフト1位ルーキー・小笠原慎之介投手(18)が交流戦の開幕戦、31日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)でプロ初登板初先発する可能性が29日、急浮上した。

谷繁監督がヤクルト戦(ナゴヤドーム)の試合後「あるかも」と不敵に笑い、首脳陣の1人も「その可能性が高い」と示唆した。

実現すれば、チームで高卒新人が先発するのは12年の西川(11年ドラフト2位)以来。交流戦開幕の先発となれば12球団を見渡しても史上初めての快挙となる。

出典:スポニチアネックス 5月30日

なぜ、感心しないか?それはこの前途有望な若者の起用方針が、「本人の育成<チームの事情」になっているからだ。

ぼくは、新人選手には大きく分けて2種類があると思う。チームの事情で発生した一瞬のチャンスをモノにし自ら這い上がらねばならない選手と、チーム自体が短期的な内輪の事情に左右されず、その選手の将来に何がベストかをしっかりシナリオにして育てていかなければならない選手だ。

そして、高卒ドラ1の投手こそはその後者の典型である。これは、過保護に温室栽培しろということではない。将来はチームの屋台骨となるべき存在なのだから、それまでの道程は極めて計画的であるべきだと思うのだ。

昨今、高卒1年目でいきなり1軍で実績を残す選手は少なくない。しかし、体がしっかり出来ていないうちから一軍起用し、その後故障に苦しんでいるケースもある。

また、小笠原の場合はそもそもファームでもしっかしりた結果が出ていない。ここまで6試合に登板し、0勝2敗で防御率も5.47だ。まだ、1軍でそれなりのタマ数とイニング数をこなせる目処もついていない。昇格させるなら「満を持して」であるべきだ。

それなのに先週から1軍に昇格させている。当初は、中継ぎ起用という話もあった。将来のエース候補を中継ぎでデビューさせること自体ぼくには疑問だったが、ここに来て先発起用の噂さえ出てきた。これが真実だとすると、首脳陣の育成方針の一貫性を疑いたくなる。

中日の先発投手陣は、残念ながら安心して送り出せる人材が現時点では皆無だと言って良い。しかし頭数はソコソコ揃っている。今週末からの対楽天3連戦では、待望の大野雄大の復帰も見込まれている。そうなると、小笠原の起用はどうなるのだろうか?ドラ1を昇格させ先発起用するなら、最低でも3〜4度の機会は与えるべきだと思うが。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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