Yahoo!ニュース

ウクライナ、リモコン操作で敵の陣地まで地雷を運んで落としてくる「地雷デリバリー地上ドローン」開発

佐藤仁学術研究員・著述家
地雷デリバリー地上ドローン(DW українською提供)

敵軍に破壊されなければ何回でも利用可能

2023年8月にウクライナのボランティアの2人のエンジニアがリモートで動くラジコンカーに地雷を搭載して敵軍の陣地の目的地まで行き、地雷を落としてくる「地雷デリバリー地上ドローン」を開発した。その様子をドイツ系メディアDWのウクライナ版が報じていた。

「地雷デリバリー地上ドローン」は人間の兵士がラジコンカーをリモートで操作して、目的地まで到着するとラジコンの留め金が外れて地雷を落として、「地雷デリバリー地上ドローン」は戻ってくる仕組みになっている。最前線の兵士からの要望に応じて開発された。人間の兵士が入れない危険な場所や敵軍の陣地の最前線にも無人車両なので入っていき地雷を落としてくることができる。そのため味方の兵士が犠牲になるリスクを軽減することができる。

「地雷デリバリー地上ドローン」は敵の陣地で地雷を落としてくるが、他にもラジコンカーごと突っ込んでいき爆発するタイプの「地上地雷ドローン」もある。いわゆる神風ドローンの地上版である。そのような「地上地雷ドローン」は標的に突っ込んでいき爆発するので、1回使用したら破壊してしまうので再利用できない。だが「地雷デリバリー地上ドローン」は地雷を落として戻ってくるので、敵軍に車体ごと破壊されなければ、何回でも使用できる。

「地雷デリバリー地上ドローン」は地雷の代わりに無人地上車両として人間の兵士が入れないような場所への物資の輸送などもできる。

▼「地雷デリバリー地上ドローン」を報じるDWウクライナ

▼敵に突っ込んでいき爆発する神風タイプの「地上地雷ドローン」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事