「ボランティアをすると内申が良くなる」は本当?
高校受験(高等学校入学者選抜)では、調査書(いわゆる内申書)が活用されます。
この調査書については、公にならない情報が多く、不確かな噂が耳に届くこともあります。
そこで今回は「ボランティアをすると内申が良くなる」という噂は本当なのか、文部科学省の資料を基に元教師が解説していきます。
ボランティア活動の実績は内申書に記載される?
内申書の内容や入学者選抜方法は、地域や学校によって大きく異なります。
そのため、調査書におけるボランティア活動の記録が入学者選抜で活用されるかどうかは地域や学校によって違います。
しかし実際に、
- 調査書にボランティア活動の内容が記載される
- 記載された内容が入学者選抜の参考になる
といった学校があるのは事実です。
このことは、2023年5月に公開された文部科学省の状況調査の資料で明らかとなっています。
ボランティア活動の実績は高校入試に影響あり?
高等学校入学者選抜の調査書に記載されるボランティア活動が受験に影響を及ぼすこともあります。
基本的に「どの学校で点数化されているのか」「何点加点されるのか」といったことはほとんどの場合、公表されていません。
しかし、一部の情報は「令和4年度高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」から確認することができます。
この資料を読み解くと、例えば学校内外の
- スポ-ツ活動
- 文化活動
- 社会活動
- ボランティア活動
などに関する記録について、以下のような選抜方法がとられていることがわかります。
福島県の場合
県教育委員会として、点数化するなどして活用できることとしており、多くの学校では点数化したうえで総合的な判断資料にしている。
千葉県の場合
調査書の記載事項について、各高等学校は特色に応じて50点を上限として、「調査書の得点」に加点することができる。
山梨県の場合
「特別活動の記録」「校外活動の記録」および「その他特記事項」については、各高等学校長が定めた基準により1~30の段階で評定する、ことを実施要項に明記している。
三重県の場合
前期選抜において、生徒会活動、スポーツ活動、文化活動、ボランティア活動等について点数化している学校がある。
兵庫県の場合
「特別活動、部活動等に関する特別取り扱い」を実施する高等学校において、中学校が「特別活動、部活動等に関する特別取り扱い」を希望する場合は、その活動の記録、成績、意欲等について具体的に朱書きする。高等学校は、合否判定の境界線にあたる点数からこの点数の10%にあたる点数を減じた点数を合格の下限として、特別に合否の判定を行う。
このように、都道府県によって内容はバラバラですが、「点数化されて評価の対象になることがある」といったことがわかります。
「内申点のためにボランティア活動をやった方が良い」は嘘?
「内申点のためにボランティア活動をやった方が良い」という噂は昔からありますが、地域や学校によってはボランティア活動は調査書に書かないことになっているところもあり、また、まったく合否に影響しないこともあります。
そのため、ボランティア活動によって必ずしも内申点が良くなったり受験に有利になったりするわけではありません。
受験で重視されるのはあくまでも「学力」ですので、日々の学習を大切にしていくことが良いでしょう。
ただし、受験する学校によってはボランティア活動の実績にも明確な基準があり、加点される場合もありますので、気になる人は早い時期に(受験の直前では間に合わないため)担任の先生や進路担当の先生に相談してみることをおすすめします。