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電波妨害されない監視ドローン、ラトビアからウクライナ軍に提供

佐藤仁学術研究員・著述家
(AtlasPro提供)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

2022年8月にはラトビアのATLAS社が監視・偵察ドローン「AtlasPro」をウクライナ軍に提供する。このドローンはGPS機能(全地球測位システム)を搭載しないで、ドローンの操縦者(オペレーター)がマニュアルで操作して飛行するため、電波妨害(ジャミング)されることなく上空を飛行して、ロシア軍の様子を偵察することができる。GPS機能を搭載していないため、場所を精確に特定することが難しいが、近距離で土地勘のある場所なら上空から偵察して場所の特定、ロシア軍の動向を把握することができる。

ドローンは攻撃用も監視用も探知したらすぐに迎撃して破壊してしまうか、機能停止する必要がある。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。ラトビアが提供する監視・偵察ドローンは、いわゆる"ソフトキル"で機能停止されることがなく飛行できる。

監視・偵察ドローンは探知されやすく、すぐに迎撃されてしまう。監視・偵察ドローンは攻撃をしてこないから迎撃しなくても良いということは絶対にない。偵察ドローンに自軍の居場所を察知されてしまったら、その場所にめがけて大量のミサイルを撃ち込まれてしまい大きな被害を招きかねないので、偵察ドローンを検知したら、すぐに迎撃して爆破したり機能停止したりする必要がある。それだけ監視・偵察ドローンは軍にとって「上空の目」として重要なものである。

▼ラトビアの監視・偵察ドローン「AtlasPro」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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