【京都市西京区】元祖イケメン平安の貴公子在原業平の寺で天蓋桜の散りゆく風情 初掘りタケノコがでかっ!
天を覆うように横へと広がる枝振りから「天蓋の桜」とも言われるのが、大原野にある「十輪寺」の樹齢200年を超える大枝垂桜です。高廊下、茶室、御殿の三ヶ所から、場所を変え見る人に様々な想いを感じさせると言われる「三方普感の庭」に植えられています。
夏の訪れを予感させるほどのぽかぽか陽気に見舞われた2023年4月1日、十輪寺に参拝すると、今年は例年より開花が早かったため、すでに満開の時期は過ぎていました。ただ散り始めの風情を感じることができました。
小塩山の麓にある十輪寺は、通称「なりひら寺」と呼ばれ、平安前期の歌人で「伊勢物語」の主人公、また作者といわれる在原業平(ありはらのなりひら)の墓所があります。天台宗の古刹で、平安時代、文徳天皇の后藤原明子(ふじはらあきらけいこ)の世継ぎ誕生祈願のため、伝教大師最澄作の延命地蔵菩薩を安置したのが始まりです。
業平は父方は、桓武天皇の曾孫であり、母方は桓武天皇の孫にあたります。血筋からすれば高貴な身分ですが、薬子の変により皇統が嵯峨天皇の子孫へ移っていたこともあり、臣籍降下して在原氏を名乗っていました。伊勢物語では、伊勢斎宮恬子内親王始め、高貴な女性たちとの禁忌の恋などが語られ、高尊の生まれでありながら反体制的な貴公子というイメージで語り継がれています。
当時、貴族の風流な野遊びの一種に塩焼きがあります。本堂の裏山には、業平の塩竃の跡があります。業平は、境内の小高い丘に塩竃をもうけて煙をたなびかせました。業平の母を慰めるためとも、また、忘れられない恋人・二条后(藤原高子)への思いを煙にたくしたとも伝えられています。業平には、煙の如く消え去った優雅な生活を惜しむ気持ちがあったのかも知れませんね。
帰りに街中へ向かって自転車を走らせていると、橋田竹材店の前に山盛りのタケノコが積まれていました。むっちゃでかい! 毎年4月1日の早朝から初掘りをするそうですが、今年は暖かさのせいで成長が早く、この時期にはないくらい「でかい」のだそうです。
まだまだ魅力満載の西京区へ訪れてみてください!
「十輪寺」(外部リンク)京都市西京区大原野小塩町481 075-331-0154