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大阪2強危なげなし! 大阪桐蔭は完封勝ち、履正社はエースが盤石! 近畿大会1週目を振り返る

森本栄浩毎日放送アナウンサー
近畿大会が開幕。大阪桐蔭と履正社の大阪2強は危なげなく初戦を突破した(筆者撮影)

 近畿大会が開幕し、優勝争いの中心と目される大阪桐蔭履正社の「大阪2強」はそれぞれ実力を発揮して準々決勝進出を決めた。次の試合に勝てば、センバツ当確ランプが灯る。

大阪桐蔭は3投手の完封リレー

 開幕戦に登場した大阪桐蔭(タイトル写真)は、高田商(奈良3位)と対戦。昨秋の近畿大会で完封勝ちした高田商の左腕・仲井颯太(2年=主将)を初回から攻め、3回まで毎回1点ずつ取って主導権を握る。

高田商のエース・仲井は強敵・大阪桐蔭相手に被安打7の力投。四死球と味方守備の乱れは残念だったが、2年連続の近畿大会出場で、今秋も躍動した(筆者撮影)
高田商のエース・仲井は強敵・大阪桐蔭相手に被安打7の力投。四死球と味方守備の乱れは残念だったが、2年連続の近畿大会出場で、今秋も躍動した(筆者撮影)

 大阪桐蔭先発のエース・平嶋桂知(2年)は6回を3安打無失点にまとめ、わき腹の故障で出遅れていた南陽人(2年)と期待の大型右腕・森陽樹(1年)の3投手で完封リレーを完成させた。仲井は粘り強く投げたが、8つの四死球が響いて6失点。大阪桐蔭が6-0で快勝した。

西谷監督、攻撃陣には不満も

 大阪桐蔭の西谷浩一監督(54)は、「平嶋は経験があるし、落ち着いていた。南は故障からの復帰で気持ちを込めて投げていた。森は1イニングだけだったので思い切って投げられた」と投手陣を評価。攻撃陣では5番に入った内山彰梧(2年)が3安打1打点とハッスルし、「新チームになってから打線を引っ張っている」と西谷監督も中軸起用に納得していたが、「つないでチャンスで1本出すという攻撃ではなかった」と、打線全体への評価は辛口だった。次戦は、昨秋の近畿決勝カードで、センバツ準決勝でリベンジされた報徳学園(兵庫1位)と当たる。前チームでは1勝1敗だった因縁の対戦だ。

履正社の多田監督はエース・高木を絶賛

 一方のライバル・履正社は、滋賀学園(滋賀2位)を圧倒した。2回に1番・矢野塁(1年)の適時二塁打で先制すると、滋賀学園投手陣の9四死球の乱調につけ込み、9安打8得点と、最後まで攻撃の手を緩めなかった。

滋賀学園のエース・脇本耀士(2年)は制球に苦しみ5回途中4安打4失点(自責3)で降板。山口達也監督(52)は「履正社の名前にビビっていた。メンタルをもっと強くしないと」と課題を挙げた(筆者撮影)
滋賀学園のエース・脇本耀士(2年)は制球に苦しみ5回途中4安打4失点(自責3)で降板。山口達也監督(52)は「履正社の名前にビビっていた。メンタルをもっと強くしないと」と課題を挙げた(筆者撮影)

 投げては最速147キロ右腕の高木大希(2年)が、10安打を打たれながらも犠飛による1点でしのぎ、8-1で完勝した。高木は「状態はそれほど良くなかったが、要所は締められた」と振り返ったが、多田晃監督(45)は「上級生が抜けて責任感が出てきた。エースと呼ぶにふさわしい」と目を細めていた。次戦の京都外大西(京都1位)に勝てば、2年連続のセンバツが濃厚になる。

報徳と近江はエースが完封

 そのほかの試合では、1位校が強さを発揮した。報徳はエース・間木歩(2年=主将)が4安打13奪三振の完封劇で奈良大付(奈良2位)を2-0と退けた。

奈良大付の杉山竜之輔は1年生ながら報徳を2点に抑えた。田中一訓監督(49)は「粘りの投球が良かった」と11安打されながらも耐えたエースの成長を喜んだ。性格も「負けず嫌い」だそうだ(筆者撮影)
奈良大付の杉山竜之輔は1年生ながら報徳を2点に抑えた。田中一訓監督(49)は「粘りの投球が良かった」と11安打されながらも耐えたエースの成長を喜んだ。性格も「負けず嫌い」だそうだ(筆者撮影)

 間木とともにセンバツ準優勝に貢献した今朝丸裕喜(2年)も絶好調で、大角健二監督(43)も「どちらを先発させるか迷うくらい」と嬉しい?悩みを披露した。大阪桐蔭戦は目の離せない試合になりそうだ。近江(滋賀1位)も最速143キロのエース・西山恒誠(2年)が、興国(大阪3位)を3安打に完封。

久々の甲子園を狙った興国は、エースの熊谷直也(2年)が近江を6回2失点(自責1)と力投し、全校応援に応えた。喜多隆志監督(43)は「すべてにレベルアップが必要」と巻き返しを誓う(筆者撮影)
久々の甲子園を狙った興国は、エースの熊谷直也(2年)が近江を6回2失点(自責1)と力投し、全校応援に応えた。喜多隆志監督(43)は「すべてにレベルアップが必要」と巻き返しを誓う(筆者撮影)

 監督歴35年の大ベテラン・多賀章仁監督(64)も「76球で完封って、こんなん初めて。ストライク先行と先頭打者を打ち取ったのが良かった」と絶賛。西山は意外にも公式戦初完投(完封)で、近江の伝統である投手力に頼もしい柱ができた。

田辺を破った京都国際は、因縁の近江と

 京都国際(京都2位)と田辺(和歌山2位)はタイブレークにもつれ込む熱戦となり、延長10回、京都国際の3番・澤田遥斗(2年)がサヨナラ打を放って、3-2で田辺を振り切った。

初回、田辺は4番・山本陣世(2年)の適時打で先制。山本陣は智弁和歌山を満塁弾で沈めた実力を近畿大会の大舞台でも発揮した。常連校相手にタイブレークに持ち込んだのは大健闘と言える(筆者撮影)
初回、田辺は4番・山本陣世(2年)の適時打で先制。山本陣は智弁和歌山を満塁弾で沈めた実力を近畿大会の大舞台でも発揮した。常連校相手にタイブレークに持ち込んだのは大健闘と言える(筆者撮影)

 京都国際の小牧憲継監督(40)は「澤田はバントもうまいのでスクイズも考えたが、打ちたそうな顔をしていたので打たせた」と笑顔が絶えなかった。次戦は、昨春センバツで、京都国際のコロナによる出場辞退で代替出場し、準優勝まで駆け上がった近江と当たる。先輩たちの悔しい思いをぶつけたい。

延長10回に5点を奪った京都外大西

 京都外大西は彦根総合(滋賀3位)に大苦戦した。急成長した彦根総合の1年生右腕・吉田康清(2年)の前に、2回以降無安打に抑えられ、2-2でタイブレークに突入。10回にスクイズで勝ち越したあと、4安打と相手失策も絡めて一挙5点を奪った。

彦根総合の吉田は3回以降「変化球が決まり出して」立ち直ったが、タイブレークで力尽きた。投手を始めてわずか2か月で、宮崎裕也監督(62)も「楽しみしかない」と今後に大きな期待を寄せる(筆者撮影)
彦根総合の吉田は3回以降「変化球が決まり出して」立ち直ったが、タイブレークで力尽きた。投手を始めてわずか2か月で、宮崎裕也監督(62)も「楽しみしかない」と今後に大きな期待を寄せる(筆者撮影)

 守ってはエース・田中遥音(2年)が12安打を浴び、10回裏も2点差まで猛追されたが、辛くも7-5で逃げ切った。上羽功晃監督(53)は「最後は流れと勢い。京都大会は田中に助けられたが、今日は守りが良かった。『近畿大会は野手全員が主人公』と言っている」と、要所で好守を見せた野手陣を称えた。京都勢はタイブレーク2勝で、京都外大西は次戦で履正社に勝って2010年夏以来の甲子園を確実にしたい。

智弁学園と耐久の戦いに注目

 2週目にはまだ登場していない智弁学園(奈良1位)と耐久(和歌山1位)が初戦を迎える。奈良と和歌山はともに下位校が敗れていて、1位校に期待がかかる。智弁は須磨翔風(兵庫2位)、耐久は(兵庫3位)が相手で、熱戦は間違いないだろう。この勝者は連戦で4強入りを狙う。近畿のセンバツ枠は「6」で、4強入りすれば選出は確実になるが、大阪桐蔭と報徳のビッグカードなど、近畿の準々決勝はまさに「センバツを懸けた」戦いである。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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