ラニーニャなのに5月の台風発生はなし、梅雨入り時期にも影響か?
5月の台風発生はなし
上図は今からひと月半ほど前の4月16日午前3時に台風1号が温帯低気圧に変わった時の情報で、これ以来5月にかけて、新たな台風の発生はない状態が続いています。(台風2号は4月12日に温低化)
現在は、太平洋西部の海水温が高めとなるラニーニャ現象が継続しており、本来ならば、もう少し台風が発生してもおかしくないものですが、散発的に対流雲が発生はしているものの、特にまとまって発達するような感じではありません。
筆者が1951年以降で、ラニーニャ現象がその年の前半に発生していた時の5月の台風発生数を調べてみたところ、ラニーニャ現象発生21年間のうち16年間で台風が発生しており、発生数はのべ28個でした。
気象庁発表による5月の平年の台風の発生数は1.0個ですから、ラニーニャ現象発生時には、やはりやや多くの台風が発生している計算となります。
今年はラニーニャ現象が発生しているにもかかわらず、台風の発生がない5月となっており、これが今後の梅雨入りにも影響するかもしれません。
一般に台風が発生するなど、フィリピン東海上の対流活動が活発になれば、その北側にある太平洋高気圧の勢力を強め、さらにその北側にある梅雨前線を押し上げられることになりますが、今年は台風の発生がないためか、南の太平洋高気圧の北側への張り出しが弱く、このあとはむしろ北からの高気圧や寒気の勢力が強まるため、梅雨前線は南へ大きく押し下げられる形となりそうです。
梅雨前線はなかなか北上してこない?
これから1週間ほどは、上図(左)にある通り、南の太平洋高気圧の勢力が弱まり、北のオホーツク海高気圧の勢力が強まるため、本州付近では梅雨前線が大きく南下し、その影響を受けることは少なくなります。
さらに北から冷たい空気も流れ込むため、週末から週明けにかけては、顕著な低温傾向となる所も多く、気象庁からは早期天候情報で全国的に低温に注意するよう呼びかけられています。
特に東京都心は、雨の降る週明け6日(月)の最高気温が平年より8度も低い17度が予想されており、4月上旬並みの肌寒さとなりそうです。
来週の後半になると、ようやくオホーツク海高気圧が弱まり、南の太平洋高気圧が次第に強まってくる予想で、上図(右)の6月12日(日)頃の気圧配置をみると、関東以西では梅雨前線に伴う梅雨空となっていてもおかしくない感じです。
ところが南の太平洋高気圧の強まりはまだ不確実で、来週の週末でも弱いままという計算もけっこう存在しています。
この太平洋高気圧の勢力を強める鍵は、フィリピン沖の対流活動が握っているとも言えますので、対流活動が不活発なまま、台風の発生もないような状態が続けば、しばらく梅雨前線の北上も明瞭とはならないかもしれません。
種々の計算をみると、少なくとも向こう10日間程度は台風の発生を予想するモデルはほとんどない状態です。