高齢者の心の支えは配偶者と子供
・60歳以上にとって心の支えとなっている存在は「配偶者・パートナー」がトップで65.3%の回答率。次いで子供(養子含む)が57.4%(2010年、日本)。
・「配偶者・パートナー」と「子供」が支えになる点では日本以外の諸外国でも同じ。しかし韓国ではそれ以外の「孫」「親しい友人・知人」「兄弟・姉妹」などへの依存心が非常に低い。逆にアメリカ合衆国は他の人達も大いに心の支えになっている。
高齢者が日々の生活を過ごすにあたり、心の支えとしている存在は誰になるのだろうか。その実情を内閣府の「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(※)から確認する。
次のグラフは日本において高齢者の心の支えになる人物を挙げてもらった結果だが、高回答率を示したのは「配偶者・パートナー」と「子供」。この2項目のみ過半数を超えている。
ドラマや漫画の描写、さらには実体験で「老夫婦が孫を可愛がる」情景はよく見かけるが、「孫」との回答は2割にも満たない。愛おしく思う対象ではあるものの、心の支えとはまた違った感覚のようだ。
同じ質問を主要5か国、具体的には日本以外に韓国・アメリカ合衆国・ドイツ・スウェーデンにおいて行い、その回答を併記したのが次のグラフ。
「配偶者・パートナー」と「子供」が大きな支えになるとの点ではどの国でも同じだが、例えば韓国ではそれ以外の対象への依存心が非常に低い、逆にアメリカ合衆国は他の人達も大いに心の支えになっているなど、国ごとの違いがはっきりと表れている。日本はスウェーデンのパターンに近いが、配偶者・子供以外の回答率が低めに抑えられている。
このグラフの表記の仕方を変えてみると、各国における各対象人物に向けた依存の度合いがはっきりと見えてくる。
ある意味もっとも身近な存在の「配偶者・パートナー」はアメリカ合衆国が一番低く、逆に「子供」は同国が一番高い。その他にもアメリカ合衆国は配偶者以外の全項目で対象国内では最高値を示しており、心の支えの対象にする人が「身近にいる人全部」的な雰囲気が強いのがあらためて確認できる。韓国はその逆で「ごく身近な身内以外は当てにならない」との思いがあるようだ。日本はスウェーデンのパターンに近いが、上記の通り、配偶者や子供以外の回答率が低めとなっている。
どれだけ自分の周囲の人物が当てになるかは、個々の周辺環境以外に、各国の国レベルでの社会福祉制度、社会的慣習、宗教的な概念など多様な項目で判断される。どの国の状態がよい悪いとの判断はできないが、「心の支えとして認識できるほど、普段から親密な付き合いをする習慣がある」と考えれば、アメリカ合衆国のような「年を取っても心の支えとなる人が多方面に存在する」という状態は、うらやましい話なのかもしれない。
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※高齢者の生活と意識に関する国際比較調査
日本、アメリカ合衆国、韓国、ドイツ、スウェーデンの60歳以上の男女(施設入所者は除く)を対象とし、2010年10月~2011年1月にかけて個別面接聴取調査によって行われたもので、各国とも1000サンプル回収を原則としている。
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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。