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TWICE「なるばらば」TikTokで大流行 どんな曲なの? 元々は「先輩が彼氏に向けて書いた曲」

筆者作成の画像/生成AIにて

サビ部分の「ナルバラバ」という韓国語のフレーズ、そしてリズムがやみつきになる。

そんなTWICEの楽曲が、TikTokでのチャレンジから日韓を中心に大流行している。

日本のSNSでは「なるばらば」として多く投稿されているこの楽曲、英語名は「Look at me」で、韓国語のタイトルは「ナル・バラバラバ」。

もはや野球場での定番に⁉ 「なるばらば」 動画が多いバージョンの原稿はこちら!

2017年10月に発売された1stフルアルバム「twicetagram」の収録曲だ。タイトル曲(アルバムのリードトラック)ではないから、ミュージックビデオもない。また「後続曲(フソクコク)」と呼ばれるサブリードトラックでもないから、音楽番組に出演した動画も残っていない。

そんな楽曲が、TikTokでの流行の他、2024年3月に韓国音源配信サイトで異例の600位圏内入り。また開幕したばかりの韓国プロ野球の応援に使われるなどブレイクしている。

これいったいどんな曲なの? 詳しいファンの方はご存知のところも多いだろうが、改めてご紹介を。

なるばらば 意味は「私を見つめて」

サビ部分のフレーズで、日本でもTikTokで広く知られるようになった「なるばらば」と、正式な韓国語タイトル「ナルバラバラバ」にはちょっとした違いがある。

まずはタイトルを分解するとこういう意味だ。

ナル=私を 
バラバラバ=見て、見てよ

本来は「パラポダ」が「見つめる」という意味だが、「パラ(バラとの中間のような音)」が繰り返されている。可愛らしくリズムよく強調するため、と思われる。「ねえ、見て、見てよ」といったニュアンスが感じられる。

いっぽうでサビ部分の「なるばらば」はシンプルに「私を見つめて」という意味だ。

筆者作成
筆者作成

所属のJYPエンターテインメントは「表面的には冷たく接するけれど、自分のことを好きでいてくれる彼氏にわがままを言うかわいい歌詞」と説明する。会いたいと言ってくれる、バラの花をくれる。顔に好きだと書いてる。でも、なんで目を見てくれないの? 恥ずかしいの? 嫌いなの? といった女性の心理を描いている。

そして、TikTokで多く踊られているサビ部分はこんな内容(わがまま)が、どっかんと"爆発”する。

ナル バラバ ナル バラバ
Look at me, look at me

ヌヌル バラバ ヌヌル バラバ (目を見てよ 目を見てよ)
Look at me, look at me

ナル バラバ ナル バラバ                  
Look at me, look at me

ナル バラバラバ (私を見て、見てよ)

TWICEの所属事務所JYPエンターテインメントは、「この曲を『Future Pop』ジャンルに分類され、かわいくて愉快な歌詞が特徴のダンス曲」だとも解説する。

事務所先輩が彼氏に書いた曲 その彼氏が…

この楽曲、元々は「事務所の先輩が、彼氏に向けて書いたもの」だ。

発表当時、韓国ではTWICEにとってのJYPエンターテインメントの先輩、Wonder Girlsのヘリムが作詞・作曲で参加したことでも注目された。ヘリムはこの楽曲制作時の彼氏であり、後に結婚し夫となるテコンドー選手のシン・ミンチョルに向けて書いたのだという。

ヘリムは3月に韓国の有名YouTubeチャンネルに出演し、出会って10年、結婚生活3年目となる夫のことをこう話している。

「父がテコンドー関連の仕事をしている関係で彼に出会いました。名刺をもらって、私の方から連絡したんです。最初の頃、彼は『なんで繰り返し連絡が来るのかな?』と思っていたと思います。彼はまるで大木のような人。私自身が風のような人なので、どっしりしているところが好みでした。どこか父に似ているところもあるように思います」

  • ヘリム本人による歌唱バージョン

Wonder GirlsはコアなK-POPファンには言うまでもなく、「Nobody」や「Tell Me」などの代表曲で知られる、K-POPの先駆的存在。そのメンバーが手がけた楽曲を、後輩グループのTWICEが歌うことで、グループの垣根を越えた絆の深さも感じさせた。

韓国では「TWICEがより評価されるきっかけ」に

TWICEのファンの間では以前から「名曲」と評判だったが、TikTokのチャレンジを通じて、改めて脚光を浴びることになった。

まずは韓国のK-POPファンの間でこの曲の早送りバージョンが話題となった。その後aespaのWINTERや、NMIXX、STAYC、ITZYなどの人気ガールズグループのメンバーが次々とこのチャレンジに挑戦。それぞれの個性を生かしたダンスで、曲の魅力を存分にアピールしている。TWICEのメンバーも、彼女たちの投稿に「かわいすぎる!」「最高にキレイ」といったコメントを寄せ、後輩グループへの愛情を示している。

また今回の「なるばらば」旋風は、TWICEの音楽的な評価を改めて高めるきっかけになりそうだ。韓国の音楽チャートでは、新曲ではないにもかかわらず上位にランクインする"逆走"現象が起きている。3月10日付のメロンデイリーチャートで初登場894位を記録し、3月17日には最高588位までジャンプアップ。チャレンジ人気に後押しされ、7年前のこの曲が再評価されているのだ。

「なるばらば」だけでなく、TWICEの他の楽曲も、チャレンジの影響で再注目を集めている。2020年リリースの「MORE & MORE」は、メンバー自らが”早送りバージョン”のチャレンジに参加して話題に。

現地大手紙「中央日報」は2月23日に発売されたミニアルバム「With You-s」のアメリカでの高評価と併せて、今回の「なるばらば」現象をこう評している。「元々ボーイズグループに比べてファン組織の規模が小さく、寿命が短いガールズグループが10年目に世界の舞台で記録を作っていくのは異例のこと」。韓国でもTWICEのスゴさをより実感できる機会となっているようだ。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。フォローお願いします。https://follow.yahoo.co.jp/themes/08ed3ae29cae0d085319/

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