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2023年 韓国での「日本のイメージ」 政治系の話題が大きく台頭 エンタメ系では「ポカ」がランクイン

筆者作成 生成AIによる

2023年、韓国で日本はどう見られたのか? ビッグデータサイトから抽出した結果は以下の通りだった。

  1. 政府 - 1,073,448
  2. 放流 - 775,211
  3. 日本旅行 - 754,522
  4. 尹錫悦 - 753,311
  5. 旅行 - 695,943
  6. アルバム - 618,067
  7. 写真 - 556,931
  8. 国民 - 487,160
  9. 大統領 - 480,343
  10. 汚染水放流 - 462,223
  11. 独島 - 440,919
  12. ポカ - 439,348
  13. 道 - 437,708
  14. 日本政府 - 428,772
  15. 韓国人 - 393,964

現地のビッグデータサイト「SOME TREND」で調査した結果だ。

調査期間:2023年1月1日~2023年12月30日
調査事項:韓国語での日本、「イルボン」についてのオンライン上での言及量
調査方法:韓国語で「日本(イルボン)」と検索。その関連キーワード上位15位を提示
調査対象:同ツール内で調査可能な「サイトニュース」「インスタ」「X」「ブログ」よりデータを抽出

1位の「政府」は日韓首脳のシャトル外交再開、いわゆる「処理水放出」の問題、日米韓キャンプ・デービッド合意などの話題が続いた結果だ。ちなみに「朝鮮日報」が選出した2023年10大ニュースの1位はその「韓米日キャンプで―ビット合意を通じ協力強化」だった。

写真:ロイター/アフロ

しかし、これは近年では「異例」と言える結果。コロナパンデミック下では圧倒的に「旅行」あるいは「エンタメ」が上位に入っていた。「日本旅行に行きたい」あるいは女性のK-POPファンが好きなグループが日本で活動を行う際に「行けないけど現地の状況を知りたい」「日本版のアルバム情報を調べる」といったデータが強かった。2022年に至っては、安倍晋三氏銃殺が起きた7月のみ政治関連の話題が台頭し、あとはずっと「旅行」「エンタメ」の話題が圧倒的強さを見せた。

今年は、例年横綱級だった「日本旅行」が3位になった。人の往来が盛んになり、政治家の往来なども盛んになった。それゆえ政治系の話が一気に浮上した、というところか。

一方で、エンタメ系が相変わらず強い、という証がある。この上位15位ランキングなかで日本の読者が調べなければ意味が分からないのは12位の「ポカ」ではないか。

これは「PHOTO CARD(フォトカード)」の略称。韓国語ではFとPの発音の区別があいまいなため、「ポカ」という音になる。なんなのかというと「K-POPアイドルグループのトレーディングカード」のこと。言い換えるなら「トレカ」。つまりは「日本で発売されたカードがほしい」という情報が多く言及されたということ。これが11位の「独島」とほぼ同数だった。

では、この「SOME TREND」の2023年のデータを大胆に「政治」vs.「エンタメ」に分類し直すと結果はどうなるのか。

「政治系」vs.「エンタメ系」= 5,295,351対3,502,519。

コロナのパンデミックが終焉し、対面でのコミュニケーションがより円滑になった2023年。政治系の話題が勝る、という結果になった。

日本関連動画の1位は「刺激系フェイク」

では、2023年に韓国で最も閲覧された日本関連の動画は何だったのか。こちらもまた「韓国での日本のイメージ」を知る良いツールだ。

なぜなら韓国でのSNS利用率で最も高いのはYouTubeだからだ。韓国の大手世論調査会社「韓国ギャラップ」が2022年9月に実施した調査によると、韓国でのSNS利用率のうちYouTubeはダントツ1位の「93%」となっている(ちなみに以下はNAVER BANDの43%、インスタグラムの36%、カカオストーリーの33%、フェイスブックの32%、ツイッターの15%、TikTokの14%)。

1位は「イ・ガンインの獲得はマーケティングでしょ? 日本の記者の質問にエムパペの反応 ww」

これはフェイク動画だった、という点が各メディアの報道でも明らかになっている。

サッカーのパリ・サンジェルマン所属のキリアン・エムパペ(フランス代表)に対して、日本人記者が英語で「イ・ガンインがチームに加わるがこれはマーケティング目的と思うか?」と質問。これに対して、エムパペが不快感を表しつつ否定した、という内容。1188万ビューを稼いだが、現在は閲覧禁止となっている。

とはいえこれが1位になる点は、韓国人の日本へのイメージでこういったポイントが高いウェイトを占めることを表している。

「日韓関係においてはサッカーが重要な関心事」

「代表クラスの欧州組の活躍度で、プレーヤー数では日本に大きく負けているが、トップ選手の活躍は韓国が上だと言いたい」

いっぽう、2位は「エンタメ」感があふれるコンテンツだった。

「日本女性 韓国に行ってくる」

男性が日本の女性に「100万円あげるから、今から韓国に行って」と申し出るが、断られる。しかし「ご飯をセッティングしてあげるから行って」というと喜んで飛び出し、ホントにその足で韓国に行ってしまうという内容だった。

3位から5位までは以下のとおり。

「一人でインドに旅行中の日本人女性を助けてあげる韓国人」

「ソン・フンミンは結局サウジに行くんでしょ? 日本記者の質問にリバプール・クロップ監督の反応

「3.5kgのカレーを食べたらタダ? 日本で社長が直接見に来ました~ チャレンジ食レポ」

5位はエンタメ系だが、3位と4位は刺激的な話題だった。2024年は「政治系(刺激系)」の話がより台頭してくる1年になるだろうか。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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