韓国大統領官邸から、韓国内の「国家と社会に献身した人」などに贈られる「旧正月のギフト」パッケージ。

文在寅政権時代から始まったこの習慣、今年はこの贈り先の対象として各国大使館が含まれていた。

これが届いた日本大使館側は”激怒”。箱を送り返し、韓国大統領官邸側に抗議した。その箱には…竹島の絵が描かれていたから――。

これを受け大統領官邸側は韓国メディアの電話取材に答えた。

「意見なし。意見がないというのが意見」「送り返されたという箱はまだ官邸には届いていない」。

22日に日韓両国を駆け巡ったニュース。

韓国での反応はどんなものなのか。

  • 出来事を報じるYTN

日本関連記事では”珍しく”上位に

まず”事件”への関心度から。

関連記事は、22日の大手ポータルサイト「Daum」の「デイリーアクセスランキング」で2位となった。東京五輪以降、日本関連の記事がなかなか上位に入らないなか、相当な関心度といえる。

また「ビッグデータジャーナリズム」を掲げる「ビックトニュース」はこの話題が”ナンバーワンだった”というデータを示している。昨日15時の時点で、大手ポータルサイト「NAVER」内の「最もコメントの多い記事」が「朝鮮日報」の同件関連記事だった。その数3491。2位の大統領選関連の記事が2859だから「大差をつけた」と言っていい。

このコメント数の多さは、強い関心のある層が強い反応を見せている、という面もうかがわせる。

Daum 該当ページ
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新年ギフトとは何なのか

いっぽう、日本での報道を見ると、あまり「青瓦台の新年のギフト」が何なのかまでは記されていないようだ。今年は2月1日となる旧正月を祝ってのものだ。

少々補足説明を。

「JTBC」によると、韓国大統領官邸からの「新年のギフト」は、文在寅政権からはじまったもの。2017年に就任後、2018年が初回だった。毎年、韓国各地の複数名産品を高級感ある包装でパックにしている。同メディアいわく「財源は韓国の税金」。

贈られる対象は、毎年「社会のために献身してくれた人」「難しい境遇にある人」など「1万人から1万5000人前後」となっている。

この基準は毎年、少しずつ変わっていく。2018年は前年の浦項地震の被害者に贈られ、2019年には「国境警備に関わる人たち」が選ばれた。2021年と2022年はコロナ関連のエッセンシャルワーカーなどが選ばれている。

2022年、今年に関しては国内のコロナ対策への協力感謝からか「各国の大使にも贈っている」(「YTN」)ため、「日本だけに向けて当てつけで贈った」ということではない。

また今回、日本側が問題視したパッケージの模様に関しては毎年入れ替わっている。

2021年バージョン

2018年バージョン

では、今年はなぜ「竹島」になったのか。

「韓国で一番最初に陽が昇る場所、という位置づけでしょうね。それを新年のイメージと重ね合わせたかったのでは。記者の間ではそういった話になっています」(韓国インターネットメディア社会部記者)

各地の名産品をパッケージに。商品化を望む声も

この「新年のギフト」、なかなかの「人気企画」でもある。毎年2つの点が話題になっている。

まずは「どんな地域名産物が含まれるのか」。

今年の内容は全羅南道・光陽の梅のエキス、聞慶の五味茶、扶餘の栗、金浦のご当地の酒が入っていたという。

この「新年のギフト」に含まれた地域名産物は「大統領に選ばれた」として、ちょっとしたヒット商品になる。2019年には「商品化を望む」との声が上がっていると「JTBC」などが報じた。

今年も、日本大使館に贈られたものと同じものを受け取った人たちはブログやSNSに「やった~」といった感想を加えている。

もう一つは「誰に贈られるのか」。初回だった2018年には「過去の大統領にも贈られるのか」が話題になった。当時、全斗煥、盧泰愚、李明博、朴槿恵の4人がいたが、「李明博にだけ大統領職の功労者として贈られる」というものだった。当時はまだ検察に逮捕はされていない状況(2018年3月に逮捕)だったからだ。残りの3人は「大統領退職者への礼遇」が剥奪された状態にあった。

韓国内ではもともと注目度の高い”企画”なのだ。

  • 文大統領は旧盆にも「ギフト」を届けており、人気ユーチューバーが2019年に受け取った際の動画は125万回再生となっている

メディアでの反応「中国や北朝鮮に一言でも言ってみろ」

そんな「人気コンテンツ」が、日本側によって贈り返される事態となった。

関連記事に対する国内の反応は、大きく2つに分かれる。「日本を批判するもの」そして「文在寅政権を批判するもの」。

革新系の新聞「ハンギョレ新聞」は23日夕刊の社説にこう批判を展開した。

韓国が実効支配する明確な領土である独島のイメージを使用するのは当然のことなのに、日本大使館が過度のケチをつけるだけではなく、これを日本の「独島領有権」主張に利用する姿を見せたのは非常に遺憾だ。韓日関係の改善をさらに難しくする挑発的な行為といえる。

これに対して大統領府が対抗していないのは、独島を紛争地域化しようとする日本の意図に巻き込まれず、これ以上の韓日関係悪化につながらないようにするための適切な対応といえる。

既視感のある主張ではある。

また、各記事のコメント欄での日本批判となると、その内容を紹介することすら不毛に思える。通信社「聯合ニュース」についたコメントのうち、一番読者の反応が多いものは「だったら、日本が放射能汚染水を海に流すのをなんとかしろ」という主旨のものだ。他には「そんな国には自然災害が起きる」というものも。お話にならない。

いっぽう、前述の最も多いコメントが集まった保守系大手氏「朝鮮日報」には、革新系の文在寅政権を批判する内容が多く寄せられた。

本当にこれが外交と言えるのか… これだけやっておいて政権が終わると『我々は卑屈な外交は行わなかった』。そういうことだろ…

文は反日感情の先頭に立つんだな。日本にやってること、半分でもいい。半分でもいいから中国にやってみろ。中国と北朝鮮に一言も言えないくせにただひたすら反日感情を焚きつける文は反省しろ

また炎上戦法か。日本も懲り懲りだろ。これのどこが一国の大統領なのか

日本もいちいち反応するようになったんだね。韓国もデカくなったもんだ

今回の「竹島ギフト騒動」、「コロナ対策協力への感謝」として、韓国国民に対する内容と同じものを各国大使館に届けるなか、日本だけ表紙を替えるわけにもいかず、また日本にだけ贈らないわけにもいかない。だから贈った。韓国側の事情とすればそういったところか。

結果、韓国側でも大きな反応が起きた。それは「韓国の左右対立の中に、日本が置かれる」という近年によくある傾向だ。3月の大統領選での政権交代を熱望する右派・保守支持者からすれば「日本よりも左派(文在寅派)が憎い」。そういった点が垣間見える。