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BTSテテの誕生日に…中国のファンが「母校に壁画」贈る 受け入れた地元大邱の思い

KIM JIEUN撮影 28日の様子

12月30日BTSのV(キム・テヒョン)が誕生日を迎える。ファンの間では「テテ」の愛称でも知られるメンバー。1995年生まれで30日に26歳となる。

これを控え、中国のBTSファンが彼の郷里である大邱広域市の区役所と協力してあるプレゼントを制作することになった。

「壁画」

KIM JIEUN撮影 28日の様子
KIM JIEUN撮影 28日の様子

KIM JIEUN撮影 28日の様子
KIM JIEUN撮影 28日の様子

彼が少年時代に通った市内の大成(デソン)初等学校の壁を、高さ2m、幅33mのタイル製壁画が飾る。それまでの白と水色の”無機質”な壁が紫色などに彩られるのだ。経緯を大邱広域市西区文化広報部スタッフが説明する。

「中国側のファンクラブから企画会社を通じて、大邱市西区役所側に提案がありました。区としても『後輩たちにいい影響を与えるもの』として受け入れ、制作中です。29日に完成予定ですが、ここ数日は大邱もかなり寒く、少し進行が遅れはしました」

電話での取材中、広報部側は大成(デソン)初等学校について「卒業した学校」という話をすぐに「ああ」と訂正し「在籍した」と言い直した。この学校は、本人が小学校1年生から5年生まで通った場所。自身の出生地に近い場所でもある。

大成初等学校の正門 KIM JIEUN撮影 
大成初等学校の正門 KIM JIEUN撮影 

参考:「中央日報」が2018年に記事にまとめた「少年時代のV」の写真

学校周辺の様子KIM JIEUN撮影 2
学校周辺の様子KIM JIEUN撮影 2

その後、小学校6年生時に転校し、中学校時代を過ごした慶尚南道居昌(コチャン)郡で歌手の夢を本格的に抱いたようだが、この大邱の地は多感な幼少期を過ごした大切な地に違いはない。

地元メディアも伝える「大邱側からの思い」

大邱の地元メディアも「地域の誇り」として、折りに触れ地元出身のV、そしてSUGAのことを報じている。

2020年9月2日、「Dynamite」が米ビルボードで1位となった際には「嶺南日報」がこんな見出しの記事を掲載した。

「大邱市民、防弾少年団のSUGAとVが誇らしい…両者の大邱愛にも注目」

市民がBTSの世界の舞台での快挙を喜ぶ様子をこう紹介した。

「大邱の地域のコミュニティサイトでは次々と1位を喜ぶコメントがアップされた。『大邱を誇らしいと思うのはこれが初めて』『コロナで苦しかったんだけど、大邱出身のメンバーがいる防弾少年団がビルボード1位になったというニュースに力が湧いた』などと」

28日の現地の様子。まだ「壁画工事中」の表示が KIM JIEUN撮影
28日の現地の様子。まだ「壁画工事中」の表示が KIM JIEUN撮影

さらには市内在住の36歳の会社員男性に取材したコメントをこう紹介している。

「1990年後半の経済危機の際には朴賛浩、朴セリが韓国国民に希望を与えてくれたアイコンでした。その時代には(元メジャーリーガー)朴賛浩投手が投げた一つ一つの投球、(女子プロゴルファー)朴セリ選手の1打ごとに熱狂したものです。新型コロナのこの時代には、大邱出身の防弾少年団メンバーのおかげで力を得られているように思います」

かつては地元出身のスポーツ選手、今はBTSなのだと。さらに大邱市出身のメンバー二人の郷里とのつながりを紹介した。

「SUGAは去る2月、コロナの流行(集団感染)に苦しんでいる大邱を助けるために寄付1億ウォンを寄付した。その際『困難にある大邱の力に少しでもなりたい』と格別な故郷の愛を見せた。またVのファンは今年(2020年)の上半期に大邱地域の高校への図書支援と韓国白血病小児がん協会の大邱慶北支会に寄付を行い、また医療陣に対する弁当配布などを行った」

メンバーの行動と同じく、当然のようにファンの行動も韓国メディアの記事に紹介されるという…BTSファンのすごさたるや。

コロナ収束の際にはぜひ「聖地巡礼」を

今回の壁画の”プレゼント”も中国のファンによるアクションを大邱市側が受け入れるところから始まった。

韓国メディアも多く報じるニュースとなっているが、現地の新型コロナの事情もあり、除幕式などは行われない。

いっぽうで市の関係者は地元メディア「嶺南日報」に対し、壁画制作に対するある「期待」を口にしている。

「デソン小学校近郊には、達城土城(ダルソン・ドソン)村や市場があり、大邱市西区の観光事業と繋がるものです。また壁画の設置により、母校の学生たちや子どもたちに『自分の才能をしっかりと見つけ、自己管理をしていけば夢を叶えられる』というメッセージを伝えられるのではと見ています」

市側は「見に来てほしい」という。確かに市街地の近くにあり、観光にもちょうどよい。

新型コロナが収束したら、日本からもぜひ「聖地巡礼」を。ソウルからのKTX、あるいは釜山(金海空港)からのバスでの大邱市内へのアクセスは「東大邱駅周辺」が入り口となる。

筆者撮影
筆者撮影

”聖地巡礼”の際には、東大邱市駅周辺からタクシーを利用するのがオススメ。駅前には大きなタクシー乗り場があり、待つこともないだろう。

筆者撮影
筆者撮影

ご乗車の際には「DaeSung初等学校」とメモ書きするか、お持ちのスマホでこの記事のご提示を。

デソン初等学校と現地の住所。筆者作成
デソン初等学校と現地の住所。筆者作成

タイル壁画の耐久性は”2年”を想定しているという。

2022年は思う存分現地を訪問できる年になりますように。

KIM JIEUN撮影 28日の様子
KIM JIEUN撮影 28日の様子

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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