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韓国、きょう13日から「公共の場でのマスク非着用に過料」違反者は10万ウォン(約9500円)など

(写真:ロイター/アフロ)

韓国で13日0時から「大衆利用施設でのマスク着用の義務化」「違反時には過料」の法が施行された。

感染予防法の改正に基づくもので、カフェ、レストラン、大型ショッピングモール、デパートなどでのマスク着用義務に反した利用者は10万ウォン(約9500円)。施設運営者はかなり高めで、1回めの処罰で150万ウォン(約14万2000円)、2回め以降は300万ウォン(約28万4000円)となる。

  • ニュースを報じる「YTN」

ただしこれは「急に状況が悪くなって決められたこと」ではない。10月13日からテスト運用されてきた罰則制度が、1ヶ月間の伝達期間を経て実際に施行されるのだ。

地方自治体が主体となって取り締まりを行う今回の法改正。基準はなかなか厳しいものだ。

レストラン・カフェ

・飲食中…着用義務なし

・注文時、オーダーを待つ時間、会計時…つねに着用

公園など屋外空間

・2メートル以上のソーシャルディスタンス確保可能時…着用義務なし

・デモや集会、500人以上の集まりや行事など…つねに着用

室内プール、公衆浴場など

・プールや水中にいるとき…着用義務なし

・脱衣室などその他の空間…つねに着用

その他

・レストラン、大型ショッピングモールのスタッフの「透明マウスカバー」は不可(罰金の対象)

・結婚式の招待客はマスク着用。ただし新郎新婦は除く。

取締対象外

満14歳未満

疾病によりマスク着用時に呼吸が困難となる人

周囲の助けなしに1人でマスクの着用が難しい人

いっぽうで、マスクの形態については「プラスチック製マウスカバー」は「不可」だが、一般のマスクの形態であれば綿など幅広い素材が「可」となっている。

出典:韓国政府 中央災難安全対策本部

  • ソウル郊外パジュ市の「過料開始通告」

韓国の新型コロナ対策は、2015年のMERS流行の苦い経験から、素早い対応を見せてきた。兵役中の医学部系学生をPCR検査に動員しやすいことなどが特徴で、日本よりも「明確に検査し、データを出し、対策を取る」というスタンスだ。

2月には集団感染が相次いだものの、今年5月上旬には「1日の新規患者数一桁、うち国内の地域内発生はゼロ」という状態が続いた。「K防疫」という言葉が一時流行し、政府の対策本部のトップが英雄視されるなどした。

しかし5月中旬以降はソウル歓楽街や宗教団体などから集団感染が発生。その後は増減を経て、ここ5日間は100人超えとなっている。社会的な行動制限のランクが「1」、「1.5」、「2」、「2.5」、「3」と明確に定められており、現在は「1」もしくは地域によって「1.5」の状態だ。

筆者が今年5月に作成。ここから追加で1.5段階、2.5段階が設けられた
筆者が今年5月に作成。ここから追加で1.5段階、2.5段階が設けられた

ただ、今回の法改正は、より高い金額が科せられる「施設管理側」からは不満が出ているようだ。「東亜日報」の12日付の記事がこれを報じている。

ソウル市内でサウナを経営する男性は「中から出てきて暑がるお客さんに、いちいち『マスクをしてください』と言って歩くのは不可能」と言う。

またソウル市内で最近出店の多い「24時間無人カフェ」の店主のコメントも紹介されている。

「お客さんに対して、貼り紙などでマスク着用をお願いするしかない。どれほどまで案内したのか、実証することは難しいのに罰金だなんて…」

実際にはどれほど厳しい取り締まりが行われるだろうか。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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