Yahoo!ニュース

鄭大世が語る「肌で感じたコードジボワール」

5月下旬にイベント会見場@ソウルで話を聞いた

15日に大会3日めを迎えるブラジルワールドカップ。この日、いよいよ日本代表が登場し、コートジワールと運命の大会初戦を戦う。

日本代表の話題と同じく、対戦国の情報も多角的に報じられるなか、最大の関心ポイントは「ヤヤ・トゥーレがどんなコンディションで出てくるか」にある模様。

こちらではちょっと違う観点から、対戦国のディティールを。

3チーム中2チームと対戦した男

今回、日本が日本がグループリーグで対戦する3カ国のうち、じつに2カ国とピッチ上で対戦したことのある数少ない存在がいる。

鄭大世(チョン・テセ/スーウォン=韓国、FW)。

北朝鮮代表として参加した2010年ワールドカップ前、親善試合でギリシャと対戦し2ゴールを挙げた(結果は2-2のドロー)。コートジボワールとは本大会第3戦で対戦(6月25日)、0-3の敗北を喫している。

さすがに4年前の話だから、チーム全体の状況は現状の参考にはなりえない。いっぽうで、ピッチ上で各プレーヤーと対戦した”ライブ感”は貴重なものだ。

コートジボワールは守備ラインに多く4年前の選手が残る。現在は韓国Kリーグで活躍するストライカーに話を聞いた。

■GK バリー(ロケレン/ベルギー)

チーム全体は間違いなく世界トップレベルにあったコートジボワールにあって……GKは他のポジションと比べ、決してそのレベルに達していないという印象でした。4年前、大会前からずっとコートジボワールの映像をチェックしてきましたが、強いインパクトがあるわけではなかった。GKにしては身長も高くはありませんよね(180センチ)。

もちろんアフリカのトップチームのレギュラーだから、悪いわけではない。でもどこか”緩さ”がある感じと言うか。ハイボールに強いわけでもない、足下の技術があるわけでもない。まあ僕はそれでも1対1の状況でシュートをミスしてしまったのですが……。彼が登場するのなら、日本は自信をもってゲームを戦っていくべきだと思います。

(6月4日、直近の親善試合エルサルバドル戦に出場)

CBコンビはいかに?

■CB コロ・トゥーレ&ディディエ・ゾコラ(リバプール&トラブルゾンスポル=トルコ)

今大会もこの2人のコンビが出てくるのでしょうか? 僕が4年前にが対戦した際には、コロ・トゥーレがハードマークを担当し、ゾコラが読みやフィードといったスマートさを担っている印象でした。

コロ・トゥーレはご存じのとおり、プレミアリーグでもオウンゴールの多いCBです。いっぽうで直に対戦すると彼を背中に背負ってボールキープすることは非常に難しかった。さすがプレミアリーグのCBですよ。カバーリングよりも個人能力で守る、という考えの強いリーグでやってきていることだけはあります。

ゾコラについては、彼の読みに日本のパスワークがハマってしまったら苦戦を強いられるでしょう。

いっぽうで実際に対戦しての印象は、「体の強さで押し切れるな」というものだった。ゾコラに対してはむしろパワープレー勝負を挑んでもいいくらいですが……今回の日本のFWにはそんなタイプはいませんね。だったら、柿谷や大久保といった選手たちが彼の裏のスペースを狙っていくこともいい方法でしょう。コロ・トゥーレはカバーリングに長けたタイプではありませんから、一気にチャンスが開けるはずです。

繰り返しになりますが、コロ・トゥーレを背負ってプレーするような状況は避けるべきです。4年経って体の強さにどんな変化があるか分かりませんが、当時の強さは相当なものでしたから。

(6月4日のテストマッチではコロ・トゥーレが先発出場。CBのパートナーには192センチのスレイマン・バンバが入った)

■左サイドバック アルトゥール・ボカ(シュトゥトゥガルト/ドイツ)

南ア大会の時は、1つ前のゲームでポルトガルに0-7と敗れた状況だったこともあり、思い切って攻撃的にプレーしました。左サイドバックの彼とは6~7回マッチアップした記憶があります。

彼のプレーも大会前から映像で見てきたのですが、その印象通りビルトアップは上手かった。いっぽうで1対1の状況では彼をかわすことはけっして難しいことではなかった。こちらのキックフェイントにも引っかかっていましたし。ここももうひとつの弱点といえば弱点でしょう。日本としては右サイドから攻撃の起点を作ることも、相手守備陣を崩すカギになるのではないでしょうか。

(6月4日のテストマッチに出場)

話を総合すれば、「守備に関してはやや隙あり」といったところか。

いっぽう、鄭大世は4年前、 直接マッチアップする機会こそ少なかったが、ヤヤ・トゥーレ、ジェルビーニョ、ドログバを目にした。

やはり突出していたのはドログバだった。

「まさに万能型だった。まるでこちらのDFが存在しないかのようなターンを繰り返し、攻撃の脅威になっていた。自分自身、それまで”ドログバが目標”と公言していたけれど、これは無理だと思った。ルーニーのようなスタイルを目指そうと。それくらいのインパクトでした」

ちなみにその後も興味をもってドログバのプレーを映像で目にしてきたが、「裏に抜け出すスピードは対戦時より落ちている」と感じるという。

はたして結果はどう出るか。

(ギリシャについては次回に)

画像

韓国での知名度も抜群。この日も多くの子供たちが鄭大世との記念撮影を求めた。2013年にドイツのケルンからスーウォンに移籍。ここまで2年間合計でリーグ戦35試合出場13ゴール。

■2010年ワールドカップ グループG 6月25日

コートジボワール3-0北朝鮮

前半14分(コートジボワール)Y・トゥーレ

前半20分(コートジボワール)ロマリク

後半37分(コートジボワール)カルー

先発メンバー

コートジボワール

GK 1 バリ 

DF 3 ボカ 

DF 4 K・トゥーレ 

DF 5 ゾコラ 

DF 21 エブエ 

MF 9 ティオテ 

MF 13 ロマリク 

MF 19 Y・トゥーレ 

FW 10 ジェルビーニョ 

FW 11 ドログバ 

FW 18 ケイタ 

北朝鮮

GK 1 リ・ミョングク  

DF 3 リ・ジュンイル 

DF 5 リ・クァンチョン

DF 13 パク・チョルジン

MF 2 チャ・ジョンヒョク 

MF 4 パク・ナムチョル 

MF 8 チ・ヨンナム 

MF 10 ホン・ヨンジョ 

MF 11 ムン・イングク 

MF 17 安英学 

FW 9 鄭大世 

北朝鮮   コートジボワール

8 SHOOT 28

19 GK 9

0 CK 7

16 DFK 13

4 IFK 2

0 PK 0

39 KEEP% 61

※試合の結果、両国ともにグループリーグ敗退が決定。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

吉崎エイジーニョの最近の記事