パパがもっとPTA役員に!~ママたちの負担を減らすパパの一歩とは~

パパたちがもっとPTA役員になればママの負担を減らすことができる!(写真:アフロ)

4月になって新たなPTAの執行部やクラス役員が決まり、新体制のスタートが切られる時期となる。

そこで保護者から出てくる多くの声は、「いかにPTAのクラス役員を逃げ切るか」というネガティブ論だ。共働きや介護などに従事するママたちが増え、主に専業主婦が担ってきたPTAのクラス役員の役割は、残念ながら「負担」という言葉でしか語られなくなってしまった面がある。

実際には、負担の量自体は昔と変わらないかもしれないが、子育て世代がそこに振り分けられる時間は、なかなか確保しづらいものになってきているのが現状だ。この声の大部分はママ側から発せられているものであり、子育てに積極的なパパたちが増えてきてはいるものの、パパ側の意識として「PTA執行部=一部の地元との関わりが強いパパとママのお役目」「PTAクラス役員=ママたちのお役目」と考えていることが多く、実態としては無関心を決め込んでいるのが実態であろう。

無関心にならざるを得なかったのはやはり働き方に大きな要因がある。働き方改革として労働面ばかりが取り沙汰されているが、これまでパパは「(業務が多いなどが原因で)会社に遅くまで残る理由がある」状態であったわけであり、ほとんどの時間が仕事のために費やされていた。その結果、生活面において「(子育てや地域のことは妻に任せているつもりなので)家に早く帰る理由がない」状態が自然と生み出されることとなった。その状態が常態化することによって、仕事以外のことへのパパの無関心化が進行し、子育てにしても、地域にしても、PTAにしても、自分事として落とし込むことができなくなってしまい、それが結果として、ママへの押し付けにつながることになった。今後おそらくは、改革が進む中で、労働面において「会社に遅くまで残る理由がない」状態に変化していく中で、同時に生活面においても「家に早く帰る理由がある」状態へと導くことが必要となる。その重要な課題の1つがパパの地域への貢献にほかならない。地域の中には、当然PTAなどの役回りも含まれる。

PTAに目を向けるパパが増えるだけでPTAの雰囲気は変わる

PTAを論じるうえでクリアしなければならない問題として、PTAへの入会の意思確認があるが、今回はここには突っ込まずに、せっかくあるPTAをポジティブな眼差しで見るか、ネガティブな眼差しで見るかという視点で論じたい。

ポジティブかネガティブかで1年間のPTA活動の関わり方も変わってくる。PTAがポジティブな人だけだったら、おそらくPTAの各役職を決めなくても活発な活動が維持できるだろうが、それは現時点では理想郷であろう。反対にネガティブな人だけだったら、すべての役職をくじ引きで決めなければならず、自然と妬みと恨みの世界へと導かれていく。正直、そんなPTAは一度清算して作り直すか、そのまま無くしてしまったほうがいい。

ネガティブな眼差しを向けているのは、ママのほうが圧倒的に多いことだろう。「(小学校の)6年間のうちにクラス役員をいかに逃げ切るか」という見方しかできないと自然とPTA活動そのものが「めんどくさいもの」になってしまう。PTA活動は本来子どもたちのためのものであり、保護者と先生が協力し合いながら進めていくことによって最大限の効果が期待されるが、ネガティブな眼差しが強いとその効果を弱めてしまうことになりかねない。

そこで、PTAがそのような目で見られないようにするために必要なのが、やはりパパの存在だ。

パパがPTAに関わる手段はいくつかある。1つは、おやじの会などのパパが集まる場があれば、そこに入ることだ。おやじの会には、PTAから独立したものもあれば、PTAの下部組織として存在しているものもある。結果として、そのおやじの会が存在することで、ママたちの負担が減るのであれば御の字であるが、ママたちが担ってしまっているクラス役員からの選出という既存の構造には手をつけていない場合も多く、ママたちの負担や不満を解消するには至っていない。

もう1つは、PTAの執行部に関わることだが、毎年、公募する形で募集しているPTAもあれば、内々で決めて総会で諮っているところもある。ただこれは、人数も限られているので、狭き門と言わざるを得ない。ちなみに、筆者は現在、自分の子どもたちが通うPTA副会長になって4年目を迎えている。

そして、パパたちに最も参加を促したいのが、クラス役員に手を挙げることだ。筆者の場合、長男が入学した際、自ら手を挙げて広報担当のクラス役員となり、その後、部長を決める際にママたちからなかなか手が挙がらない状況を見るや、PTAについて何もわからない中、広報部長も引き受けた。ネガティブな気持ちでクラス役員を引き受けたママたちにとって、それ以上の役職に就くことはさらに抵抗感が強い。部の中でもできれば端っこのほうを渡り歩いて、ほどほどにこなして1年を乗り切りたいと思っていたママたちの重苦しい雰囲気を変えるには、PTAに対するポジティブな気持ちを醸成させるしかないが、これ以上ママたちが抱えるネガティブな気持ちを変換させるには相当なエネルギーがいる。だからこそ、ママたちに働きかけるのではなく、パパたちがクラス役員に手を挙げることが何よりも重要なのだ。パパたちの割合が増えれば、ママたちが抱えてきた負担感も緩和できるはずだ。

国が「働き方改革」ですったもんだしている隙に、地域やPTAにおけるパパたちの居場所を確保しなければ、「パパ=仕事だけしていればいい」という時代遅れの考え方から本当の意味で脱却することはできない。今後、間違いなく、労働時間は削減される方向に向かう。「国に働き方を変えていただく」まで傍観者として待ってもいいが、パパたちがクラス役員に手を挙げることによって、それが社会を変える一歩につながるのだという思いを持ってもらいたいものだ。

本当のところ、今回の記事では、PTAのクラス役員にパパクオータ(割り当て)制を導入することを主眼に書こうかと思っていた。この制度は、例えば、クラスから選ぶ役員が4人いれば、そのうち1人はパパからクラス役員を選ばなければならないと規約に設けることで、ママたちの負担感を緩和することをねらったものだ。しかし、筆者がPTA副会長を務める小学校の入学式が先日行われ、新1年生の保護者にクラス役員のお願いをしたところ、2クラスのうち、なんと自分が選定を担当したクラスから2名、もう1つのクラスからも1名、パパから手が挙がったのだ。

保護者(入学式なので夫婦で出席している方が多い!)にクラス役員へのお願いをする際に、筆者から伝えたことは、以下の3点だ。

  1. PTAのクラス役員はママの中から選ぶものではなく、パパが手を挙げてもいいということ
  2. 忙しければ夫婦で協力してもいいということ
  3. 決してPTAの活動をクラス役員にすべて押し付けるのではなく、役員・非役員が活動を盛り上げるために協力していくということ

クラス役員を早い時期に終わらせたいがため、子どもが1年生のうちにやってしまおうという向きもあるので、そう時間はかからないと踏んではいたが、10秒も経たないうちに、ママ2名、パパ2名が手を挙げてくれた。そのパパ2名は元々子どもの保育所が同じということもあり、知った仲だったので期待はしていたが、事前の根回しもなく、その場で決断してくれたことに頼もしい気持ちになった。

ということで、PTAのクラス役員に対してパパクオータ制をあえて導入しなくても、伝え方次第で、そして、地域の関係性の中から、パパたちにもっとクラス役員に手を挙げてもらうことは可能だと気づかされた。もちろん、PTAにパパクオータ制を導入することで、加速度的にパパの参入を促すことができるとは思うが、その場合、結局のところ、付いて回るのが「やらされ感」だ。そこから切り離すためには堅苦しい制度ではないほうがいいに決まっている。

「PTA会長に女性を増やすこと」だけが施策の俎上に上がることへの危険性

女性PTA会長は1割を超えたが・・・
女性PTA会長は1割を超えたが・・・

(出典:内閣府)

男女共同参画の面でいうと、よく語られるのはPTA会長の男女の割合だ。現時点でようやく女性会長が12%を超える程度にはなったが、正直、内閣府の男女共同参画白書には毎年このデータしか載らない。「ん?それは違うんじゃないの」というのが自分の意見。男女共同参画的に大事なのは、女性PTA会長を増やすことではなく、男性のPTAのクラス役員を増やすことだ。女性PTA会長が増えることに否定的なのではなく、男性のクラス役員の割合を増やすことも同時に目指さなければ、PTA会長も女性でクラス役員も女性という事態が生まれることになる。それを回避しなければ、ママたちが持つ「やらされ感」は半永久的に消えることはない。

この時期はPTAのクラス役員の選出のため、PTAに対してどうしてもネガティブな意見が出やすい。それは過度にママたちに役割を押し付けてきたパパ=男性の責任でもある。これまでママが果たしてきた役割に敬意を払い、パパたちがもっと日常的なPTA活動に関わることができるように、国や企業、社会からもエールを送るべき時期になっているのではないだろうか。

パパたちがもっとPTAに関わることで、より効率的な運営体制に変えることもできるだろう。この記事を読んで、クラス役員に手を挙げるパパが少しでも増えることを切に願いたい。