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末尾「4」年のセンバツはやはり健大高崎の初優勝。高校野球都道府県ランキング①

楊順行スポーツライター
(写真:アフロ)

 健大高崎が群馬県勢として初めての優勝を飾った第96回選抜高校野球大会。大会前、あるサイトにこんな主旨の原稿を書いた。

「過去、西暦の末尾が"4"年のセンバツ大会は、第1回(1924年)の高松商(香川)を含め、9大会の優勝校がすべて初優勝。で、優勝候補には前年秋の王者・星稜(石川)を推す」

 その星稜は、準決勝で健大高崎に敗れ、優勝予想は的中しなかったが、健大高崎とて初優勝。末尾"4"年大会の初優勝は続いているわけだ。健大高崎は、群馬県勢としても初めてセンバツを制覇し、111勝とした甲子園の通算勝利数で群馬は、熊本の108勝を抜いて47都道府県中23位。上位半分に入った。

 このセンバツでは、鹿児島の神村学園が1回戦を突破し、県勢の甲子園通算100勝を飾っているが、100勝に到達したのは27番目だ。以下が、勝利数のランキング。左から順位、都道府県名、春夏通算勝敗数、()内はそのうち選抜大会、選手権大会の勝敗数で○数字は引き分け。さらに勝率、選抜大会優勝回数、選手権優勝回数の順。

1 大 阪 399勝232敗(215⑤141 184-91).632 12 14

2  兵 庫 324勝250敗(180③152 144-98).564 6 7

3  東 京 318勝270敗(132①126 186①144).541 5 7

4  愛 知 309勝208敗(176③114 133-94).598 11 8

5  和歌山 235勝192敗(107②111 128①81).550 5 8

6  広 島 217勝156敗(97②77 120①79).581 5 7

7  神奈川 215勝130敗(81①54 134-76).623 7 8

8 京 都 207勝186敗(83①92 124①94).527 2 4

9 高 知 192勝129敗(93-65 99-64).598 2 2

10 愛 媛 188勝129敗(66-58 122①71).593 4 6

 ここまでがベストテン。大阪は、もしこのセンバツで大阪桐蔭が準々決勝に勝てば、400勝に届いていた。春夏の優勝回数26回もダントツ。どちらも10回以上を数え、春夏のどちらかで二桁の優勝を記録しているのは愛知のセンバツ11回だけだ。通算勝率もトップで、ほかに勝率6割台は2位の神奈川しかない。

 大阪、兵庫、愛知は、センバツの通算勝利数が夏のそれを上回っている。強豪府県とあって、基本は1代表の夏に比べ、春は複数のチームが出場することも多いためだろう。春の勝利数が夏を上回るのはこの3府県と徳島のみ。夏の勝ち星は、74年以降2代表が出場する東京がトップだが、記念大会以外は1校しか出ない大阪がほぼ肩を並べているのもすごい。のべ出場校数では、東京の152に対して大阪は105。1校あたりの平均勝利数は大阪が1.75で、東京は1.22になる計算だ。

 愛知は、19年に東邦がセンバツで優勝して300勝カルテットの一角に。これに次ぐのは和歌山だが、300勝まではまだまだ時間がかかる。

 以下京都までの8都府県が200勝以上。ベストテンの残り2つは高知と愛媛の四国勢で、9位の高知は戦前にはまったく甲子園に縁がなく、戦後だけでベストテン入りしている。200勝もそろそろ射程圏とする高知は、昨年のセンバツ終了時点の勝率がギリギリ6割を保っており、いまでも愛知をわずかに上回る3位だ。

夏に強いのは愛媛、千葉、宮城

 11位以下はこうなる。

11 福 岡 155勝173敗(62①84 93-89).473 0 4

12 奈 良 150勝125敗(60-64 90-61).545 2 2

13 千 葉 149勝120敗(49-41 100-79).551 0 3

14 静 岡 144勝156敗(56-69 88①87).480 4 1

15 岐 阜 143勝117敗(67①48 76①69).550 3 1

16 徳 島 142勝113敗(75-53 67①60).557 5 1

17 香 川 133勝134敗(63-63 70-71).498 3 2

18 北海道 121勝248敗(46-88 75②160).328 0 2

19 埼 玉 120勝100敗(49①34 71-66).545 2 1

20 山 口 118勝133敗(36-59 82-74).470 1 1

 北海道は昨夏の出場2校が3勝し、順位を上げている。おもしろいのは徳島で大阪、兵庫、愛知同様、センバツの勝利数が夏を上回る。春に強い県といえそうで、同じ四国では愛媛が逆に夏に強い。千葉も夏の勝利数が春の2倍に達しており、夏に強さを発揮する。

 ほかに100勝以上のランキングは……

21 宮 城 117勝109敗(34-40 83-69).518 0 1

22 岡 山 113勝123敗(46①56 67-67).479 1 0

23 群 馬 111勝118敗(41②45 70-73).484 0 2

24 熊 本 108勝112敗(42-47 66①65).491 1 0

25 栃 木 105勝102敗(43②38 62-64).507 1 2

26 沖 縄 104勝87敗 (31-33 73-54).545 3 1

27 鹿児島 100勝112敗 (29-41 71-71).472 1 0

 ここまでが100勝以上で、いずれも少なくとも春夏どちらかの優勝がある。先述のごとく、センバツの優勝で群馬が上位半分に入った。沖縄の100勝目は21年夏。初出場は58年だったから、60年強という急ピッチで大台に到達したことになる。

 宮城は、27年の夏に仙台一中が県勢として初出場して以来、ずっと黒星が先行してきたが、22年夏の仙台育英の優勝で借金を完済して勝率5割以上。こちらも千葉同様に夏の勝利数が春の倍以上で、昨夏の準優勝でも貯金を増やしている。(つづく)

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は63回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて54季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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