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楽天ドラフト5位 平良竜哉(NTT西日本)はこんな選手

楊順行スポーツライター

「とにかく持ち味はフルスイング。内角もさばけて一発があるのが魅力だし、みんなから愛されていますよ」

 NTT西日本の河本泰浩監督はそう評価する。9月の日本選手権予選のニチダイ戦。平良竜哉は3回にソロ、5回には2ランと全打点を稼ぎ、チームを本大会出場に導いた。

 NTT西日本に入社2年目。とはいえ1年目は、どん底からのスタートだった。大学時代にプロ志望届を提出したが指名はなく、「経験を積んでプロへ」という思いで飛び込んだ社会人の世界。だが、3月のオープン戦で打球を追って飛び込んだ際に左肩を脱臼してリタイアを余儀なくされる。

「大学時代にも故障が多く、ケガなく過ごすこと」

 が目標だったはずが、手術、リハビリを経て、全体練習に合流できたときにはすでに、8月も中旬になっていた。

 それでも、東京五輪イヤーで、社会人野球の華である都市対抗の日程が変則だったから救われた。本来なら6月から始まる都市対抗近畿2次予選が、9月上旬から。なんとか間に合ったそこは不本意だったが、東京ドーム本番では2試合8打数4安打と結果を残している。

 そのときの打順は二番。だから、見たときには驚いた。「え? これが二番」と思わせるほどの、いっそ思い切りのよすぎるフルスイングなのだ。平良はいう。

気持ちいいフルスイング!

「相手が全力でくるんだから、僕も全力で振るんです。入社当初は、社会人投手の制球のよさに驚いて、まずはボールに手を出さないことを練習から意識したんです。そうすると、"フルスイングできない球は、ボール"だと気がついた。たとえば7割の力で振ろうとすると、ボールに手が出てしまうんです。ですが、フルスイングできない球はボール、だと割り切ったら、見きわめもできるようになった」

 ケガも完全に癒えた今季は、スイングの迫力にふさわしい四番に座り、前述のように価値あるホームランも記録。もともと大学1年時、神宮大会では、当時名城大の栗林良吏(現広島)からバックスクリーンに放り込んでいるのだ。小柄ながら、パワフルなスイングにはホセ・アルトゥーベ(アストロズ)がだぶる。平良はいう。

「身長は僕よりも小さくても、世界最高峰のプレーヤー。めちゃくちゃ刺激を受けています」

■たいら・りゅうや/1998年7月9日生まれ/沖縄県出身/170cm78kg/右投右打/前原高→九州共立大

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は63回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて54季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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