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入場料アップでも、楽しみな夏の甲子園。令和版高校野球番付をつくってみた

楊順行スポーツライター
(写真:アフロ)

 センバツ高校野球が終わって1カ月ほどたち、自分なりにつけている都道府県別・学校別・監督別などのデータがようやくまとまった。年号が令和に変わって以来、2019年の夏を経て20年はコロナ禍で春夏ともに中止、21年春夏、そしてこの春……と、甲子園で4大会が行われたことになる。

 まだサンプルは、少ない。県によっては、出場が1県1代表の夏2大会にとどまるかと思えば、大阪のように令和だけで18試合を戦っているところも。それを承知のうえで、ここまでの令和版高校野球番付をつくってみた。

 令和4大会の都道府県別勝ち星トップは大阪だ。19年夏に履正社が優勝し、この春は大阪桐蔭。4大会のうち二つを制しての14勝4敗は圧巻だ。続いては、昨夏に智弁和歌山が優勝した和歌山が11勝4敗。ベストテンまであげると、以下のようになる。

1 大 阪 14勝4敗 優勝2

2 和歌山 11勝4敗 優勝1

3 東 京 10勝7敗

4 奈 良 9勝5敗 準優勝1

5 滋 賀 8勝3敗 準優勝1

6 神奈川 7勝2敗 優勝1

  石 川 7勝3敗 準優勝1

宮 城 7勝4敗

兵 庫 7勝5敗

10 京 都 5勝3敗

  高 知 5勝4敗

※準優勝はほかに大分が1回

平成初頭もトップは大阪。でも、桐蔭は……

 約30年前、元号が平成になった1989〜90年の春夏4大会と比較すると、ちょっとおもしろい。

1 大 阪 17勝5敗 優勝1準優勝1

2 宮 城 10勝4敗 準優勝1

3 奈 良 9勝3敗 優勝1

4 東 京 8勝5敗 優勝1

愛 媛 8勝4敗 準優勝1

香 川 8勝4敗

7 神奈川 7勝5敗

8 愛 知 6勝3敗 優勝1

福 岡 6勝2敗

山 梨 6勝3敗

京 都 6勝4敗

※準優勝はほかに沖縄が1回

 顔ぶれは大きく変わらないとしても、平成の初頭は四国勢が頑張っていたのがわかる。令和では上位の和歌山は、昭和の終盤から平成元年まで、春夏通じて甲子園初戦11連敗とまったく元気がなかった。智弁和歌山にしても、93年夏の初勝利までは初戦5連敗だったのだ。

 大阪の優勝は90年春の近大付で、準優勝は89年春の上宮。いまの大横綱・大阪桐蔭が初めて甲子園に出場するのは、91年の春だった。もっともその夏には、初優勝を果たしているのだけど。

 また青森山田や八戸学院光星(青森)、盛岡大付(岩手)、聖光学院(福島)、桐生第一、前橋育英、健大高崎(群馬)、花咲徳栄(埼玉)、日本文理(新潟)……など、キリがないのでやめておくが、現在の甲子園常連も、平成初頭では初出場すら果たしていないチームが多い。

 次は、令和4大会の学校別勝利数ランキング。

1 近   江 8勝3敗 準優勝1

2 智弁和歌山 7勝1敗 優勝1

  星   稜 7勝2敗 準優勝1

智 弁 学 園 7勝3敗 準優勝1

5 履 正 社 6勝0敗 優勝1

東海大相模 6勝1敗 優勝1

大 阪 桐 蔭 6勝2敗 優勝1

仙 台 育 英 6勝2敗

9 明   豊 4勝2敗 準優勝1

国学院久我山 4勝2敗

京 都 国 際 4勝2敗

神戸国際大付 4勝2敗

明 徳 義 塾 4勝3敗

敦 賀 気 比 4勝4敗

 なんといっても、昨夏ベスト4で今センバツ準優勝の近江が目立つ。滋賀ってそもそも、春はともかく夏の甲子園初勝利が全国でもっとも遅い79年。近畿のお荷物といわれていたことを考えると、なかなかに感慨深い。そして上記のうち、平成初頭の勝ち星でも上位にいたのは89年夏に準優勝した仙台育英くらいで、星稜もコンスタントに勝ってはいた。東海大相模は当時やや元気がなく、神奈川勢では横浜商が平成の2年間で6勝している。90年夏に準優勝した沖縄水産も2年で5勝していたが、両校ともにすっかり甲子園が遠くなっている。30年もたつと、勢力図が大きく塗り変わるものだ。かと思うと、90年センバツで初出場準優勝した新田(愛媛)は、昨年夏に復活して初出場を果たした。

 これから春季地区大会が本格化する今シーズン、どんなチームが台頭してくるかが楽しみだ。もっとも、夏の甲子園は入場料が大幅アップするようだが……。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は63回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて54季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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