2018 高校野球10大ニュース その7 最高打率、30年ぶり更新もあまり目立たず……

春夏通算100勝に到達した龍谷大平安(写真は優勝した2014年センバツ)(写真:岡沢克郎/アフロ)

 大阪桐蔭が史上初の2度目の春夏連覇を達成した第100回全国高等学校野球選手権大会では、入場者数も101万5000人と、史上初めて100万の大台を突破した。100回の区切りに、めでたしめでたしである。

 でこの夏は、史上初めてのタイブレークが行われ、なおかつそのうちの1試合でこれも史上初めての逆転サヨナラ満塁本塁打が生まれたりしたのだが、もうひとつ、偉大な記録が達成されたのになぜかあまり目立っていない。近江(滋賀)の2年生・住谷湧也が、個人一大会通算打率を30年ぶりに塗り替えたのだ。

13打数10安打の打率.769

 智弁和歌山との1回戦、九番として2打数2安打2四死球。前橋育英(群馬)戦、3打数2安打1四球。常葉大菊川(静岡)戦、4打数3安打。敗れた準々決勝の金足農(秋田)戦では、好調ぶりに打順が六番に上がり、あの吉田輝星から4打数3安打。4試合13打数10安打の打率.769は、1988年夏、津久見の古閑憲生(津久見・大分)が記録した.727を大きく上回ったのだ。なにしろ、アウトになったのが4試合でわずか3打席というから恐れ入る。

 この個人最高打率の記録、対象となるのはベスト8以上。たとえば76年夏、柳川商(現柳川、福岡)の末次秀樹は2試合8打数8安打の打率10割だが、3回戦敗退のため、いわば"規定打席未満"である。確かに、8強以上などというくくりをもうけないと、10割の最高打率がごろごろ出てきてしまうからね。

 88年の古閑の場合、チームが2回戦から登場したから、住谷の近江と同じベスト8ながら、試合数は3。.727の内訳も11打数8安打だから、住谷は数字上、そこからさらに2打数2安打していることになる。昨年は、広陵(広島)の中村奨成が6本塁打と、大会通算記録を32年ぶりに更新したけれど、このまま高校野球の打高投低傾向が続けば、アンタッチャブルとされてきた記録がさらに塗り替えられるかもしれない。

 ほかにもこの夏は、聖光学院が福島大会を12年連続で優勝。同校が持つ、戦後最長の甲子園連続出場記録を延ばしている。ただし、戦前の和歌山中(現桐蔭)はもっとすごくて、15年の第1回から14年連続出場を果たしている。しかも1県1代表制ではなく、校数は少ないとはいえ奈良県と紀和代表を争ってのもの。そのうえ21~22年には史上初の夏連覇を果たし、23年も準優勝だからすごい。

龍谷大平安は史上2校目の100勝に

 桐蔭と同じ古豪でいえば、龍谷大平安(京都)が夏の甲子園1回戦で鳥取城北に勝ち、甲子園春夏通算100勝に到達。これは中京大中京(愛知)の133勝に次ぐ数字で、以下に勝利数ランキングをあげると、

1 中京大中京 愛知 133勝47敗

2 龍谷大平安 京都 101勝70敗1分 

3 P L 学 園 大阪 96勝30敗

4 県 岐 阜 商 岐阜 87勝52敗1分

5 松 山 商 愛媛 80勝35敗1分

6 天   理 奈良 75勝48敗

7 広   陵 広島 71勝43敗1分

8 東   邦 愛知 70勝42敗1分

9 早 稲 田 実 東京 66勝48敗2分

10 大 阪 桐 蔭 大阪 63勝12敗

 なだたる古豪だらけのなかに、88年の創部からわずか30年の大阪桐蔭が10傑に名を連ねるのがすごい。

 また地方大会では、石川県大会決勝での星稜が、金沢学院を相手に記録ずくめの打棒を発揮した。先発全員の28安打で22点は、石川大会決勝の最多得点。五番・竹谷理央が1試合4本、四番・南保良太郎が3本のアーチを架け、そのうち3回は2者連続弾。またチーム7本塁打、竹谷の4本は石川大会の1試合最多本塁打。大会通算5本の南保も、偉大な先輩・松井秀喜らの4本を抜く大会新記録を達成した。

 それにしても……星稜はつくづく、高校野球ファンにインパクトを与えるチームだ。2018年の高校野球の10大ニュースを選んできたここまでの7回のうち、実に3回もその名前が登場するとはね。