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参院選 注目複数区の序盤情勢 東京・神奈川・大阪・兵庫=JX通信社情勢調査

米重克洋JX通信社 代表取締役
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

報道ベンチャーのJX通信社では、参院選の序盤情勢を探るため、今月6日(土曜日)・7日(日曜日)の両日に電話情勢調査を実施した。本稿では、その中でも注目される東京・神奈川・大阪・兵庫の4選挙区について、過去の選挙結果や独自調査データを加味して分析した序盤情勢の内容を掲載する。調査の概要は本稿末尾に記載の通りだ。

東京(定数6) 丸川氏ら4氏リード

東京選挙区では、いずれも現職の丸川珠代氏(自民党)、吉良佳子氏(共産党)、山口那津男氏(公明党)、武見敬三氏(自民党)がリードしている。その後をともに新人の塩村文夏氏(立憲民主党)と山岸一生氏(立憲民主党)が追い上げており、音喜多駿氏(日本維新の会)も懸命に追っている。水野素子氏(国民民主党)らは厳しい。

丸川氏は自民党支持層の3割を固めたほか、無党派層からは最多の支持を集めている。吉良氏は共産党支持層の6割台半ばから支持を受けるほか、無党派層では丸川氏に次ぐ支持を得ている。山口氏は公明党支持層の9割超を固めた。武見氏は自民党支持層の2割強を固めたほか、無党派層からも一定の支持がある。塩村氏と山岸氏はそれぞれ立憲民主党支持層を分け合っており、無党派層からの支持では塩村氏が上回っている。音喜多氏は無党派層から一定の支持を受けるが、日本維新の会支持層からは約半分の支持に留まっている。

なお、4割強の有権者が態度を決めていないか明らかにしておらず、情勢はなお流動的だ。性別では男性の3割弱、女性の5割弱が態度未定もしくは不明となっている。

神奈川(定数4) 島村氏、牧山氏、佐々木氏安定

神奈川選挙区では島村大氏(自民党)、牧山ひろえ氏(立憲民主党)、佐々木さやか氏(公明党)の現職3人が安定している。4議席目をめぐり、元知事の現職松沢成文氏(日本維新の会)と新人の浅賀由香氏(共産)が横一線の激戦を繰り広げている。乃木涼介氏(国民民主党)は、国民民主党支持層を固めきれておらず伸び悩んでいる。相原倫子氏(社民党)らは厳しい。

島村氏は自民党支持層の5割と無党派層の一部から支持を集めている。牧山氏は立憲民主党支持層の6割を固めたほか、無党派層から最多の支持を得ている。佐々木氏は公明党支持層の9割近くを固めた。松沢氏は日本維新の会支持層の過半と自民党支持層、立憲民主党支持層の一部に加えて、無党派層の一部からも支持がある。浅賀氏は共産党支持層の8割をまとめたほか、無党派層でも政権批判票を一部取り込んでいる。

神奈川選挙区で態度を決めていないか明らかにしていない有権者は約4割となっている。

大阪(定数4) 東氏、太田氏がリード

大阪選挙区では、現職の東徹氏(日本維新の会)、太田房江氏(自民党)がリードしている。その後に杉久武氏(公明党)、梅村みずほ氏(日本維新の会)が続き、現職の辰巳孝太郎氏(共産党)、新人の亀石倫子氏(立憲民主党)が激しく追い上げる展開だ。

東氏は日本維新の会支持層の4割弱をまとめた他、自民党支持層、無党派層からもそれぞれ1割の支持を得ている。太田氏は自民党支持層の4割と無党派層の一部から支持がある。杉氏は公明党支持層をほぼ固めた。梅村氏は日本維新の会支持層の3割と自民党支持層の2割弱、無党派層の一部から支持を得ている。辰巳氏は共産党支持層の8割以上を固めたほか、無党派からも一定の支持がある。亀石氏は無党派層からの支持では3番手で勢いがあるが、基盤である立憲民主党支持層を固めきれていない。

大阪選挙区で態度を決めていないか明らかにしていない有権者は約3割となっている。

兵庫(定数3) 加田氏一歩リード 高橋氏、清水氏、安田氏横一線

兵庫選挙区では、新人の加田裕之氏(自民党)が一歩リードし、同じく新人の高橋光男氏(公明党)と現職の清水貴之氏(日本維新の会)、新人の安田真理氏(立憲民主党)が横一線の争いを繰り広げている。金田峰生氏(共産党)は追い上げに懸命だ。原博義氏(NHKから国民を守る党)の支持は広がっていない。

加田氏は自民党支持層の約半数を固めたほか、無党派層の一部から支持を得ている。高橋氏は公明党支持層の8割超を固めた。清水氏は日本維新の会支持層の6割のほか、無党派層の1割強から支持を得ている。安田氏は立憲民主党支持層の6割超に加え、無党派層からは最多の支持を集めている。

兵庫選挙区で態度を決めていないか明らかにしていない有権者は約4割となっている。

調査の概要:7月6日(土曜日)と7日(日曜日)の2日間、無作為に発生させた電話番号に架電するRDD方式で、4都府県内の18歳以上の有権者を対象に調査した。情勢分析は6月22日〜23日、同29日〜30日に行った電話調査の結果と過去の選挙結果のデータをもとに行った。有効回答は計2334件だった。

JX通信社 代表取締役

「シン・情報戦略」(KADOKAWA)著者。1988年(昭和63年)山口県生まれ。2008年、報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、テレビ局・新聞社・通信社に対するAIを活用した事件・災害速報の配信、独自世論調査による選挙予測を行うなど、「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手がける。

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