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山本由伸がいなくても大丈夫!! オリックスの若手投手がAWBで躍動

横尾弘一野球ジャーナリスト
アジア・ウインター・ベースボールで力投するオリックスの期待の星・日髙暖己。

 プロ、アマチュアを問わず、アジア圏の若手選手がスキルアップに励むアジア・ウインター・ベースボール(AWB)が、4年ぶりに台湾で開催された。今回は台湾プロ選抜、チャイニーズ・タイペイU-23代表、来季から台湾プロリーグ(CPBL)に参入する台鋼ホークスに加え、日本からNPBホワイト、NPBレッド、社会人選抜の計6チームがエントリー。11月25日から12月14日まで、各チーム17試合のリーグ戦、15日から3日間は順位決定戦を実施した。

 オリックス、千葉ロッテ、福岡ソフトバンク、阪神、東京ヤクルトの5球団で編成されたNPBレッドには、オリックスから8選手が参加。その中でも才木海翔、川瀬堅斗、日髙暖己の3投手が目立つパフォーマンスを披露した。

 まず、育成ドラフト2位で大阪経済大から入団したルーキーの才木は、ウエスタンで10試合に登板。リリーフで10回1/3を投げ、10三振を奪うも15安打を許し、防御率6.97とプロの壁に跳ね返された。コンスタントに140キロ台後半をマークする速球を生かそうと、AWBではクローザーとして起用される。すると、ストレートは最速155キロを叩き出し、10試合で10回を投げて15奪三振、被安打7で無失点と安定感抜群の投球を続け、5セーブでAWBのセーブ王に輝いた。

 次に、2021年の育成ドラフト1位で入団した川瀬は、ウエスタンで先発として16試合に登板するも、57回1/3で被安打64の防御率3.61と、勝負球を中心に制球力のアップが課題とされた。そして、AWBでは中6日で3試合に先発。6、7、6回で1失点ずつ、防御率0.95としっかりゲームメイクした。2年間はケガにも泣かされたが、来季はファームで先発ローテーションの軸となり、結果次第では支配下登録からのブレイクもありそうだ。

山本由伸とよく似た投球フォームのルーキーに注目

 そして、「山本由伸がメジャー・リーグに行っても大丈夫では」と、気の早い期待感を抱かせてくれたのが日髙である。山本を輩出した都城高と同じ宮崎県の富島高出身で、ドラフト5位で入団したルーキーは、体力強化に取り組みながらウエスタンで12試合に登板。1勝1敗で防御率3.15とまずまずの数字を残し、フェニックス・リーグにも招集される。何より、山本とよく似た投球フォームが注目された。

 AWBでは、開幕2戦目の11月26日に先発。台湾プロ選抜を相手に5回まで5安打1失点(自責点はゼロ)の力投を見せると、12月2日は社会人選抜に6回まで4安打2失点(自責点は1)。スピンの利いたストレートを低目に集め、走者を背負っても落ち着いたマウンドさばきが強く印象に残った。12月9日は台鋼ホークスに5回9安打で4点を失い、17日の決勝でも2回までに3失点で優勝を逃したが、フルシーズンを投げ抜く体力を含め、来季の飛躍には大いに期待できそうだ。

 期間中には福良淳一ゼネラル・マネージャーが視察と激励に現地入りするなど、育成と強化の歯車がしっかりと噛み合っているオリックスは、絶対的エースの山本、フリー・エージェント権を行使して北海道日本ハムへ移籍した山﨑福也が抜けても、いや、先発ローテーション投手が二枚も抜けるからこそ、次代を担う新戦力が鎬を削って台頭してくるのだろう。パ・リーグ4連覇をかけた2024年の戦いも楽しみだ。

(写真提供/小学館グランドスラム)

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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