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もうすぐドラフト会議――今年は正真正銘の隠し玉がいる?!

横尾弘一野球ジャーナリスト
メジャー・リーガーだった加藤豪将も、ドラフト会議を経て北海道日本ハムへ入団した。(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 プロ野球ドラフト会議が、いよいよ10月26日に実施される。今回は観覧チケットも販売され、多くのファンの前で金の卵たちの進路が決まるようだ。

 1965年に始まったドラフト会議は59回目を迎えるが、これまでには他球団が「まさか」と目を丸くしたサプライズ指名の歴史もある。古くは、誰も知らない地方の選手が指名されたり、野球ではない競技の選手が指名されたり。その後、プロ入り拒否を表明した選手を強引に指名し、説得を重ねて入団に漕ぎ着ける手法が「密約」と囁かれたり……。西武時代の根本陸夫氏が駆使した“寝業”に代表されるように、あの手この手で選手を獲得してきた歴史もあるが、現在は高校生と大学生にはプロ志望届の提出が義務づけられ、各球団が情報網も張り巡らせているため、いわゆる「隠し玉」の指名で場内を沸かせることはほぼなくなった。

 そうした状況の中で「隠し玉」と呼べるのは、事前に身分照会が必要な選手と言えるだろうか。つまり、ドラフト指名対象になるか否か、指名したい球団が日本野球機構(NPB)に問い合わせた選手だ。身分照会された選手はNPBで審議され、ドラフト当日の会議開始前に12球団に向けて指名の可否が伝えられるという。実は、そんな身分照会を必要とする選手が今年はいるのだという。

 詳しく取材してみると、その選手は外国籍の父親と日本人の母親の間に生まれたハーフで、日本に居住していたこともあるが、現在は海外の高校に在学している。外国籍の高校生なら、10月16日に北海道日本ハムとの契約を発表した台湾の孫易磊のように、外国人枠ならば話も早い。だが、この選手の場合は、あくまで外国人枠ではない入団を望んでいるため、ドラフト対象になるかどうかを探っているようだ。

 そして、ある特定の球団が追いかけているのかと思ったら、すでに複数球団が調査をしており、支配下で指名するか育成で指名するか、契約金などの条件面も具体的に検討されているという。まずは、ドラフト対象になるかどうかによるが、どうしても育てたいポテンシャルを備えていれば、高い順位での指名もあるのではないかと見られている。速球派の右腕投手というところまでは判明したが、ドラフト会議で指名されることはあるのか、頭の片隅には入れておきたいと思う。

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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