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ルーキー・吉村貢司郎が6回1安打で2勝目!! 東京ヤクルトが大きな1勝を手にする

横尾弘一野球ジャーナリスト
ドミンゴ・サンタナ(中央)の貴重な一発で、先発の吉村貢司郎は2勝目を手にした。

 5月9日の阪神×東京ヤクルトは、阪神が開幕から無失点を続ける村上頌樹、東京ヤクルトは4月30日の阪神戦でプロ初勝利を挙げたルーキーの吉村貢司郎が先発した。

ルーキー・吉村貢司郎がプロ初勝利!! 東京ヤクルトは連敗を7で止める

 4月2日の広島戦に先発でプロ初登板をしてから、吉村は毎日曜に先発で好投するも勝ち星がつかず、23日の巨人戦では打ち込まれて初黒星を喫してしまう。だが、30日の阪神戦では6回1失点の安定感がようやく報われ、初勝利をマークして「ウイニング・ボールは両親に」と笑顔を見せた。この勝利で、22日の巨人戦からの連敗も7で止めた東京ヤクルトだが、5月に入っても3日の巨人戦は6点リードを逆転され、翌4日も打撃戦にサヨナラの7対8で敗れるなど、まだまだ本調子とはいかないようだ。

 何とか勢いをつけたい7日の横浜DeNA戦は、日曜日で吉村が予告先発。連敗を止めたルーキーが、打線好調の首位を相手にどんな投球を見せてくれるか楽しみだったが、残念ながら雨天で中止に。すると、9日の阪神戦にスライド先発が発表された。

 新人にとっては、単なるスライドでも簡単なことではないと思うが、移動日を挟んで2日のスライドにも、吉村は抜群の安定感で応えてみせる。3回までは1四球のみ。4回裏に先頭の中野拓夢に初安打を許しても、しっかりと後続を抑える。

開幕タイ記録の村上にサンタナが会心のソロ弾を見舞う

 ただ、阪神の村上も、4月1日の横浜DeNA戦に1回無失点で3年目の一軍デビューを果たすと、12日の巨人戦は初先発で7回までひとりも走者を許さぬ快投。そして、22日の中日戦は10奪三振の完封で、先発ローテーション入りを勝ち取った期待の新星だ。チーム打率.224と、なかなかエンジンのかからない東京ヤクルト打線は、2回表に村上宗隆とドミンゴ・サンタナが連打を放つも、後続が倒れて先制できない。果たして、6回まで無失点の村上は、開幕から31イニング連続無失点のセ・リーグタイ記録をマークする。

 吉村は、6回裏二死から3連続四球で満塁のピンチに立たされたが、佐藤輝明を何とか三振に打ち取って無失点に凌ぐ。すると、直後の7回表、先頭のサンタナが村上からレフトへ先制ソロ弾を放つ。この虎の子の1点を、7回は石山泰稚、8回は清水 昇、そして、9回は田口麗斗が守り切って1対0のシャットアウト勝ち。神経戦を粘り強く戦い、吉村が2勝目を手に入れたことは、東京ヤクルトにとっても長いペナントレースでターニング・ポイントとなる大きな1勝という印象だ。

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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