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【ドラフト速報】二刀流の矢澤宏太は抽選なく北海道日本ハムに――ドラフト会議で1位指名が出揃う

横尾弘一野球ジャーナリスト
二刀流の矢澤宏太(日体大)は、1位入札を公言していた北海道日本ハムに決まった。

 プロ野球ドラフト会議は、10月20日の午後5時に1位入札から開始された。豊かな将来性を備えた選手に何球団が競合し、どの球団が交渉権を獲得するかが注目されるが、今年は事前に9球団が1位で入札する選手を公表した。

 先陣を切ったのは巨人だ。まだドラフトの話題が少なかった9月28日、171cmと小柄ながら、高校通算68本塁打のスラッガー・浅野翔吾(高松商高)へ入札すると公言。世代交代に取り組む強い決意を表明した。

 それからしばらくは無風だったが、10月10日に福岡ソフトバンクが、攻守に潜在能力と将来性の高さを評価した誉高の大型遊撃手イヒネ・イツアの1位入札を公表。すると、翌11日には「その年の一番いい選手を指名する」という方針の北海道日本ハムが日体大の二刀流・矢澤宏太、埼玉西武は早大の強打者・蛭間拓哉へ入札すると宣言する。

 さらに、13日は広島が最速151キロを叩き出した189cmの長身右腕・斉藤優汰(苫小牧中央高)を1位入札に挙げる。さらに、14日にはリーグ2連覇のオリックスが、大学球界ナンバーワン左腕と評される曽谷龍平(白鷗大)に入札すると公言する。

 すでに6球団が、すべて異なる選手を1位と評価したわけだが、この流れは止まらない。18日には東北楽天の石井一久監督が、リモート会見で188cmの右腕・荘司康誠(立大)への高い評価とともに入札する意思を明かす。そして、ドラフト会議前日の19日には、自ら視察に出向き、「複数の候補を絞り込んでいる」と話した中日の立浪和義監督が、会議を終えて本格派右腕・仲地礼亜(沖縄大)へ入札すると公表。東京ヤクルトの高津臣吾監督も、「本人に知ってもらったほうがいい」と社会人ナンバーワン右腕の吉村貢司郎(東芝)へ入札するとした。これで9球団。1位入札を公表しなかったのは、千葉ロッテ、阪神、横浜DeNAとなった。

2007年以降では最多の9球団が事前に1位入札を公表

 逆指名や自由枠などが撤廃された2007年以降では、最多となる9球団が1位で入札する選手を公表し、それがすべて異なる選手。入札が重複し、抽選になるのは公表しなかった3球団次第となったが、千葉ロッテは荘司を入札。さらに、阪神は浅野、横浜DeNAは大阪桐蔭高の松尾汐恩捕手を入札し、荘司と浅野を除く10名の選択が確定した。

 そして、荘司の抽選は残りを引いた東北楽天が交渉権を獲得し、「今日は新しい靴を履いてきた」という原 辰徳監督が先に引いた巨人が浅野の交渉権を得る。このあと、千葉ロッテは専大の菊地吏玖投手、阪神は三拍子揃った外野手の森下翔太(中大)に入札し、これで12球団の1位指名がすべて確定した。

(写真提供=小学館グランドスラム)

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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